架神恭介「戦闘破壊学園ダンゲロス」

戦闘破壊学園ダンゲロス (講談社BOX)

戦闘破壊学園ダンゲロス (講談社BOX)

本日はラノベ感想。リアルタイムなウォーゲームっぽいラノベです。
魔人という能力者がいる世界で、魔人が多く集まる希望崎学園(通常、戦闘破壊学園ダンゲロス)では、生徒会グループと番長グループに分かれていた、というものから世界。両者の対立、戦闘を描くというもの。エログロ描写がやや多め。冒頭から登場人物の一人がレイプされたり、他の魔人の脳味噌を食べることによって能力を発揮できる魔人が登場したり。

この小説は、多様な楽しみ方があると思う。例えば、さきほど例に挙げたエログロ描写が好きな人はそれでいいと思う。萌えキャラ(女体化した番長・邪賢王ヒロシマ)も出てくるし、超絶性技を持つ魔人も出てくる。バトル物が好きな人にとっては、週刊少年ジャンプ的熱血要素もある。後半には全共闘ネタ、安保ネタも出てきます。

作者のサイトを見ていると、ラストは「認識」論を展開しているんですが、これは狙って中二要素を出していると思いました。魔人能力は、認識を強制させる能力。では、自分の「認識」が最強の盾で、相手の認識が最強の矛の場合、どちらが勝つのか――――講談社ということで「空の境界」ネタも絡め、より高次元の存在を匂わせて、to be continued. このへんに注目して読むも良し。

で、私はどこに着目しながら読んでいたというと、魔人同士の能力対決です。魔人同士でバトルするわけですが、どうやったら勝てるんだろう、この魔人を倒すためには誰をぶつければいいんだろう、と考えながら読んでいました。登場人物が多いので、色んな組み合わせが可能です。私の予想が当たるときもあれば外れる時も。例えば、赤蝮に犯されそうになったとき、両性院はチンパイ使えば赤蝮のアレを落とせたんじゃないか、と思いました。ですが、あれは邪賢王の能力を披露するための場だったんですねっ

ストーリー展開は裏切られる展開が多かったです。普段、ラノベを読み慣れている層からすると、意外なところで意外な人が死んで、びっくりです。まさか白金祥一郎が、鏡子が、ド正義卓也が、・・・・と思いました。

それから、ストーリーが進むに連れて、魔人、転校生とも絶対的とは言えない描写になっていましたね。ド正義の理想も、高潔なように見せかけてやっぱり粗い。個人の能力に依拠する統治は、その個人が瓦解したときに終わる、ということまでド正義なら気付けよー、と思っていたけど、ダンゲロスだから。モイのガタリが進むにつれ、各登場人物の完璧なイメージ(最初はこのような描写の側面が強い)が崩れてくるんですが、多分これも狙っているなぁ。だってダンゲロスだから、で読み進めることが出来ました。私は読んでいて面白いと思った一冊。万人受けは多分しないけどねっ!