水無瀬さんご「独立!お嬢様のアキバ帝国」
さてさて。本日は、水無瀬さんごさんの最新作です。
ヒロインは二人。そういえば、水無瀬さんって、今までの二作は一対一でしたね。ピンヒロインを軸に、周りの登場人物もちょこちょこと出したドタバタが基本のストーリー展開。今回は、雰囲気をそのまま受け継ぎいでいます。
アメリカ帰りのお嬢様・一橋莉奈が、秋葉原を独立させようと計画。主人公・浅沼圭太は、そのせいで、秋葉原帝国の国王になってしまう。んで、その状況を見た、ツンデレ幼なじみで生徒会長(しかも隠れオタク)・興津夏実が介入*1。実は、圭太は、現役総理大臣の孫。他方、夏実の祖父は、総理大臣とは政治的なライバル関係にある、というもの。なんだこの設定。
んで、国民服を設定したり、輸出産業としてエロゲをつくってみたりすね中で、ついでにえっちい展開に巻き込みます。
話の展開はぶっとんでいますね。作者も自覚はあるようで。
「アキバっぽいネタないですかねぇ」「アキバ帝国の逆襲ってのはどうですか?」「逆襲ってのはちょっと……」「じゃあとりあえず独立で」「はい」「はい」
こんな感じで作られてしまった。できあがった原稿に編集さん共々頭を抱えて「こいつマジどうするんだ……」と30分ぐらい悩んだのは良い思い出。その後改稿をするのだが、改稿前は謎のロシア人が出てきたりしていたらしい。本当に頭がどうにかしていた。
これが実態・・・・らしいです。ディーゼルの話があったり、妹の話があったりで、作者の趣味が反映されていますねー。いいぞもっとやれ読者が引くレベルまで突き抜けろ
ラストは、秋葉原は解体されるけど、再開発をして経済の街にしようとする総理大臣の思惑を阻止。秋葉原は子どもの街だ、新しいモノができる度になんであろうと飛びつく、と爺さんがいうあたりからラスト(妊娠、出産)までは、エロラノベにしては、珍しい、謎の爽やかな読後感。
キャラは軽くてポップな感じで、文章は作者らしい軽妙洒脱。本当にサクサク読めてしまう。そのためか、えっちい成分が若干の薄さに物足りない人もいるかもしれないが、これはまぁ長所の裏返しとしての短所みたいなモノで仕方ない面もあるよなー。今読んでいる鷹羽シンさんとは方向性や作風が違うからね。
っということで、なんにせよ、読んでいて満足できた作品でした。では、私が収めたささやかな印税が、水無瀬さんが飲むお酒の足しになることを祈って。