赤月カケヤ「キミとは致命的なズレがある」
まずは、フミツキマサヒトさん、かーずさん、いつもブログにて紹介していただき、ありがとうございます。
さて、青橋センセの新刊も読み終わったんですが、明日、明後日と二日続けて飲み会なので、ちょっと感想書くのは遅れるかもしれませぬ。酔っ払った状態で帰宅して、感想書ける程度の酔い具合だと書くかも。
んで今日は、ガガガ文庫優秀賞。デビュー作の感想を書きます。
- 作者: 赤月カケヤ,晩杯あきら
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/05/18
- メディア: 文庫
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ちょうど一ヶ月程前にもう一人の新人賞作品を読んだんですが、私としてはこっちの方が好き。
お話の中身は、ややミステリっぽい。主人公の海里克也は、過去の記憶がない。それは自分が過去に少女を殺してしまったショックから来たものだと思うようになる。フラッシュバックする少女の死体。赤い血。
ぺたぺたぺたぺたテープを貼って。とんとんとんとん釘を打って。決して開くことない過去の記憶
克也の主観と認識の世界が、現実ではない。そこに"ある"のに、認識しない。それは、自分のトラウマだから。過去の記憶を思い出さないために。余計な物は認識しない。
あるいは。
そこに"いない"のに認識する。宮崎ひなた。克也のイマジナリーフレンド。想像上の友達。自分を救うために。自分の罪で自意識が崩壊するのを守るために。
すべては認識の世界。主観の世界。
ズレ。価値観のズレ。殺してしまうことを厭わない。普通ではない、アインズヴァッハの門をくぐった人たち。最初、山美鳥が表紙になっている顔に違和感を覚えていたが、読み終わってからは、あの笑顔が怖い。
「大丈夫っすよ、うーみん。私は、普通じゃないっすから」
「一緒に来るっすか?」
「そうっすか。仕方ないっすね。それが普通っす。それじゃね、あまやん」
人を殺すこと、価値観などの致命的なズレ。なにが善で何が悪なのか全く異なる価値を持つ狂気。狂気が普通に/日常に存在している。
この作者の文体は緊張感をそそってきます。克也の壊れ具合。そして美鳥の陽気と狂気のギャップ。人と人の間には価値観のズレはあるんだけど。そして認識にもズレはあるんだけど。美鳥も最終的には、アインズヴァッハの門をくぐった人たちの世界を求めている。だから、どこまでいっても独りだけど、誰かを求めているのかなー