渡航「やはり俺の青春ラブコメは間違っている」2巻

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2 (ガガガ文庫)

早くも21世紀を代表する作家になったと言っても過言ではない渡航先生の自伝的著作。渾身の続刊が登場・・・・うん、たぶん間違ってない。前作の衝撃から約四ヶ月ほど。次が出たので買ってきました。

前回では、ぼっち主人公・比企谷八幡が、雪ノ下雪乃率いる奉仕部に入れさせられて、と。周りにあわせてしまうキョロ充・由比ヶ浜由衣に、自分をつらぬけばいいじゃないとなって、ついでに由衣も奉仕部に入って、という展開。

今回も比企谷八幡のぼっちネタは続きます。読んでいて心が抉られるなぁ。「比企ヶ谷菌がうつる〜」(156頁)とかちょっとそういうネタやめてマジでハートがスランプ状態。ハートスランプリアルぼっちだから。カラオケで円広志とか歌うから俺。私の場合もう突き抜けたけどさー、本当にあの時は辛かった。コミュ障害のくせに自覚がないというかコミュ障害を認めたくないまま、コミュニケーション求めていたんだから。コミュニケーションがうまくいかない→それで焦る、空回りする→ますますハブられる→孤立へという流れ。目の前で貴方のこと嫌いと言われたことあるし、大学の時も俺が挨拶したらこれからは別にいちいち挨拶しなくていいから、と言われたことも。挨拶って人間関係の入り口じゃないの・・・なんで俺スタートラインにも立たせてもらえないの、と。
小学生が帰るときにやるじゃないですか。白いものを踏んで帰るとか、そういうの。大学生のときは、無言ゲームとして大学にいる間は声を出さないというゲーム(※ただし語学とゼミの時間は除く)をやって何度も達成していました。俺無言ゲームのエキスパートすぎるだろ。馬鹿かと思うけど、あとちょっとで達成!となったときには意欲が湧いてくるから。達成したら満足感あるから。同時に虚無感もあるけどな。ついでに今の会社でも無言ゲーム挑戦したいっす。

大学のときは、一回質問に行ってなんかちょっとこいつ面倒くさそうだなと扱われてからは、授業終わった後に教授に質問に行くなんてそんなコミュニケーション高い行為なんてできるわけもなく。図書館でひたすら勉強と疑問の解消ですよ。おかげで成績良かったからな。んで、成績良かったから修士課程まで行ったけど指導教授との会話なんて出来ませんでした。今日ゼミの飲み会ないよーと言っておいて後で集まるのホントやめて。ないよーといいながらちょっと目線や声のトーンが違うの気づいているから。ゼミ終わった後で気の合う人同士でメールしあって飲み会しているの知っていたから。で俺呼ばれたことないのもわかっているし。教授も参加するような公式の飲み会は当然呼ばれるけど、帰りの方向がたまたま一緒になっただけで面倒くさそうな態度取るのもやめて。きついから。急に携帯いじり出されるのもきついから。

ぼっちの話し相手になるのは後輩だけ。でも後輩は愛想笑いで付き合ってくれるだけ。俺が後輩に話しかけていたら同級生が「よく頑張ったねー」と後で言っていたの知っているから。気づいているから。結局、話し相手に同級生は無理だから(なお、以上の話はフィクションです)。

でも。いるんですよ。真性リア充が。神聖リア充が。こっちの漢字でも間違いない。人をただの試験の時のノート役としか思わない似非リア充ではなく、場の雰囲気も変えてしまう、本当に友達思いのやつが。中心となる奴が。川崎大志みたいな奴。俺みたいな人間に特殊スタンド・『ザ・ゾーン』発動されると困るから。息できないから。女の子の目線がそもそも違うから。あ、ありのままに起こったことを話すぜ状態になって、いつのまにかそいつが中心となった決定が、嫌味なく進んでいるから。

まぁ、このブログで何度か書いたけど、最近は多少プレイ頻度は落ちたとはいえ、読書の他にはRPGツクールが趣味なんですよね、私。んでこのへんからもわかるように好きなんですよ、材木座義輝みたいな中二センスが。でも、誰も解ってくれない。自分の趣味の話で盛り上がらない。では、ということでネットの世界に・・・・という流れ。結局、孤立孤立と言いながらも、誰かかまってくれる人を求めていたんですよ。

比企谷八幡はわかっている。他人とのつながりが。両親が忙しくて相手をしてくれない妹の寂しさが。そして、寂しさを埋めたのがたまたまだとはいえ、自分だったことが。

・・・・でも、感謝しているのはほんと

こう言った時*1の妹の気持ちは理解している。結局、人とのつながりが、ほんのちょっとでも必要だってことが。でもつながりって怖くて。妹は近い。けど、全くの他人だと怖い。壊れると思ってしまう。いつだって期待して、いつも勘違いして、いつからか希望を持つことはやめるんだ*2。相手に踏み込むときの、怖さ。怖さを理解しているから空回りする。だから失敗する。そしてまた怖くなる。この悪循環。だから、最初から踏み込もうとする気なんて持たないんだ。

でも、ぼっちを受け入れ、ほっちを突き抜けた私だから言いたい。奉仕部という空間の、二人の住人。キャラクター的にも良い娘ばかり。誰にも理解されなくても自分を貫き通すことが強さだとわかっている雪ノ下雪乃。誰かを理解することについて諦めることも逃げもしない由比ヶ浜由衣。この二人だからこそ。はーちーまーん、最後は勇気見せろよ!と叫びたい。大人のふりして諦めちゃってホントの勇気見せないままだと女の子からロマンティックもらえないんだよと叫びたい*3

さて、何の因果かラブコメ展開に巻き込まれつつも、フラグをべしべしと積極的にへし折る主人公。由比ヶ浜由衣かわいそうすぎるだろうが八幡らしい。いろんな意味で間違っているラブコメ(?)ですが、続きが気になるのは確か。評価?当然の星5つですよ!!



追伸:誤植発見しました。33頁「そろろ比企ペディア」→「そろそろ」の間違いだと思いますので、関係者の方このブログをみることがあったら直しておいてください。

*1:245頁

*2:260頁

*3:しかし八幡が他人の気持ちを理解できるようになったら、この小説の面白さが終わりなので、難しいところ。長く続いて欲しいような、続いて欲しくないような。ヒッキーのラブコメ展開はみたいようなみたくないような。