清水マリコ「ネペンテス」

いやぁ・・・最近、読書スピードが早いなぁ〜。前は1週間に1冊か2冊だったのに、今は週3冊ペース。それだけ暇な時間ができたってことかなぁ時間管理がうまくなったってことかなぁ

ネペンテス (MF文庫J)

ネペンテス (MF文庫J)

さてさて、最近続いている清水マリコ作品シリーズ。今回はネペンテス。タイトルは食虫植物のお話です。うーん、これは現実の合間に入り込む非日常の雰囲気に酔う作品。喪黒福造が登場しない「笑ゥせぇるすまん、と言えば雰囲気が伝わるだろうか。

動揺することで不幸な出来事を引き起こしてしまう主人公・西村。
もう一人の組み合わせは、人造人間・遠山遠美。相手が欲しいものをわかってしまう能力の持ち主。

この組み合わせだけではなくて、ほかにも登場するんだけどなぁ・・・。うーん、コメントしにくい。

西村は、常に冷静でいようとする。自分が同様したら、相手を巻き込んで不幸にしてしまう。だから、どこかクールで、遠くをみている。その能力は、父親を物語の世界に入れてしまったことで得られたモノ。自分がそこには行けば、何もかもなくなる。「ひとりで見る夢」。

いまは・・・いまは、一人になるかならないか、自分で選ぶことができるんだ。傷は嫌だけど、傷があるのは、ひとりじゃないことを選んだ証拠だ

自分は他人を傷つけてしまう、悪い人間。動揺すると相手を不幸にしてしまう。それは、自分が勝ってに作り上げた自分のルール*1

「だけど、悪い人間だと知ったから、やっぱり、生きていたいんだ」
優しくない、悪い人間だからこそ、悲しい美しい結末を選べない

この辺のセリフは、最後の、クライマックスで出てくるんですよね。でも、この小説は、これだけじゃない。コメントしにくい、不条理さ。例えば、目から色が消えて行って、最後は白黒状態でしか見えなくなる話。目を取り出して交換する謎の姉弟。ほかにも、ふつうじゃない人生が良いと願って、ゲームの管理人になった少女のお話。自分の体を改造し続ける少女のお話。

・・・これも全部、主人公の西村くん絡み。ほかにもストーリーがあるんですが、ここまで書いていて、やっぱり「笑ゥせぇるすまん」だと思った。うーん、感想書きにくい。総合評価で、星3つですな。この小説が、自分には良くわからない。

*1:この点について、はてな界隈を廻っていたら以下のような感想を発見。「特殊な能力ではなくて、この物語の主人公は何か嫌な出来事があったときと自分が動揺したときが同調したため、なるべく動揺しないように心がけるのですが、これもたまたま思い当たる節があったでしょう。時計などで、よく同じ並びの数字を見てしまうと思ってしまうのと同じで、印象に残ったときのことだけ覚えているのだと思います。」http://d.hatena.ne.jp/bookadict/20070726