十文字青「ぷりるん」

ぷりるん。~特殊相対性幸福論序説~ (一迅社文庫)

ぷりるん。~特殊相対性幸福論序説~ (一迅社文庫)

第九高校シリーズの第一巻です。相変わらず、続編を読んでから元に戻るという読み方ですが。

第4章以降の独白に勢いを感じる。

可賀地ノボルが、主人公・ユラキに対して。

でも、俺はね。友達だと思っていたんだけどなっ。

もっと続くけど、省略。

ユラキくんが、桃川に対して。

どうすれば人に愛されるかわからないんだ。どうやって人を愛すればいいかわからないんだ。お定まりのデートをしてセックスをする方がずっと簡単だ。何も考えなくていい。悩まなくていい。その時は満たされる。相手が言うことを聞かなかったら泣き叫べばいい。毎日毎日電話をかけまくればいい。相手が降参するまでいやがらせをすればいい。

まだまだ続くけど省略。

ユラキが「ぷりるん」しか言わない花菱に対して。

「わからないとしても!通じないとしても!わかりあえないんだとしても!」
「でも、それでも言葉を重ねることが完全に無意味だとは思いたくない!ぼくの言葉は君の心に届かないのかもしれない!ぼくでは君の言葉を理解できないのかもしれない!だけど、聞きたいんだ!きみの言葉で!きみが何を言いたいのか!何のためにこんなことをしているのか!」

作者があとがきで、「ふと思い立って、夢中で書いた小説」って書いているように、読んでいて、本当にそのとおりの、全力で突っ走った感覚になる。特に最後のあたり。今まで三冊読んだけど、一番面白いのはこれだった。

小野塚那智の存在は、謎。

  • シリーズ感想

http://d.hatena.ne.jp/yusuke22/20091014/1255498395
http://d.hatena.ne.jp/yusuke22/20100309/1268149963