清水マリコ「ゼロヨンイチナナ」

ゼロヨンイチナナ (MF文庫J)

ゼロヨンイチナナ (MF文庫J)

前作「ゼロヨンイチロク」の正統続編。感想はこっち→http://d.hatena.ne.jp/yusuke22/20100425/1272204307

え・・・・toi8さん、カラーイラストの相川美緒ちゃんがブスになっているのは何故ですか?
とまぁ、軽いツッコミはこのへんにして。

ゼロヨンイチロク、ゼロヨンイチナナと続けて読んでいて思ったことですが、普通の物語にあるはずのモノがない

通常、小説には物語がある。例えば、主人公の精神的成長や恋愛。でも、この小説には、ない。だから、最初からなんとなく違和感をもっていたんだと自覚できた。
この主人公は、本当に等身大。物語のような、成長や恋愛を平気で受け入れる人たちではない。不思議な事件に遭遇するとそれなりに対処するだけ。不思議を受け入れいるところは現実世界とは違うけど、それ以外の要素は等身大過ぎて、読み手は成長に気づかない。むしろ、成長という役割の担い手は、主人公ではない他の登場人物。例えば、前回の相川美緒や今回だと双子の姉妹ノエカエ。

あー、だからかぁ・・・雰囲気に酔う小説という評価がくるのは。主人公の感覚や思考は、自分たちに近い。十分に理解可能な常人レベル。そして、現実の自分たちの成長速度は遅い。恋愛や成長が現実にすぐに達成できるわけはない。だから、この小説に物語性を感じないんだ。現実の自分と主人公が身近すぎて。

あ、今までのエントリは別に批判する意図は持っていませんよー。清水マリコさんの小説を読んでいて感じる不思議な感覚を言語化してみただけです。私、こういう雰囲気に酔う小説、かなり気に入っていますから。ふーむ、なんか清水マリコさんの世界がすこしずつわかってきたかもしれない。