野村美月「文学少女見習いの、初恋」

鋼の錬金術師の録画時間を間違えていた…再放送で見よう。昨日のマジンガーZも卓球のせいで録画失敗していたし、ここ最近はついていないなぁ…

気を取り直して、読書感想、読書感想っと!今日読んだ本は、野村美月文学少女シリーズ最新刊。

どうでもいいけど、最初、『文学少女』、『見習の、初恋』だと思っていた。だから、遠子先輩の話が中心かなーと思っていたんだ。最初のところを読んだだけで、『文学少女見習いの、』『初恋』だとわかる。そして、中身は、新ヒロイン、日坂菜乃ちゃんがコノハくんに恋する話。

菜乃ちゃんの行動は、やっぱり15歳の少女なんだなー、ってのが正直な感想。少女漫画テイスト。昨日の日記に続いて、女性作家評論になってしまうけど、良くも悪くも、恋に恋する少女の内面が描かれている。

『神に臨む作家(下)』で、遠子先輩への恋を始めたコノハくん。読者としては、二人とも相思相愛を貫いたまま、もう一度ぬいぐるみの熊の前で、マフラーを巻いて再会することまではわかっているから、コノハくんがどこまで遠子先輩に恋していたのかをわかってしまう。
だから、題材が曽根崎心中なのかな?コノハくんと遠子先輩は、心中なんかしないけど、二人の絆には、お初と徳兵衛。この二人の間には、本編の最大にして最強の対抗ヒロイン・琴吹ななせさんでも入れない*1。絶対に入れない。そして、入れないことを琴吹さんは理解している。痛いほどに。そして、『水妖(ウンディーネ)』と『作家(ロマンシェ)上・下』まで読みきった読者ならば、同じくらいに。

だから、新ヒロイン・日坂菜乃ちゃんに対しては、苛立ちを感じてしまう。何にもわかっていないお前が遠子先輩の初恋物語を汚すなよ!!琴吹ななせちゃんの辛い告白、そして文化祭の劇中の台詞をどういう気持ちで叫んだのかわかっていないお前が!!

多分、野村美月は狙ってやっている。だからこそ、コノハくんは、最後の台詞を吐いたんだ。
日坂菜乃ちゃんの少女漫画テイストな初恋は、絶対にかなわない。遠子先輩とコノハくんの築きあげた歴史を超えるものはない。だって、コノハくんにとって、遠子先輩は、恋人であり、編集者であり、お姉さんであるんだから。それなら、最初から、諦めさせた方が良い。

でも、菜乃ちゃんは、第三者として、コノハくんと遠子先輩の物語を眺めたら、どう反応するのか、そしてどのように諦めてしまうのかは気になる。たぶん、これは続巻以降の話。菜乃ちゃんの成長物語。

それでも、文学少女(見習い)は止められない。

わたしはハッピーエンドを信じてる。運命がどんなに苦難を用意しても、あきらめずに乗り越えて、二人はいつまでも幸せに暮らしましたーそんな風に終わる物語もあるって(274頁)

物語には続きがある。これで終わりではない。その物語が終わっても、終わると日常が待っている。日常をどう過ごすのか、それが気になってしまう*2。『作家(ロマンシェ)』で、文学少女シリーズは終了した。だけど、コノハくんには、遠子先輩が卒業した後の日常が待っている。文学少女(見習い)は、その物語。
コノハくんは、自分自身の物語がハッピーエンドになることを願うことを、この文学少女(見習い)のセリフを聞いて自覚しただろう。そして、その願いは絶対に叶うんだ。

麻貴先輩が言っているように、ヘタレだったコノハくんは凄いなー。逃げない。真実から目をそらさないんだって、これは惚れるわ。いい男度がぐんぐん上昇。琴吹さんも、前より惚れる要素ありだよね。
あと、本巻を読みながら、多分櫻井流人くんが出て来て、活躍するだろうと予想していたけど登場しなかったなー。竹田千愛ちゃんも出てこなかったけど、どうなっているのかな。人間失格から、解放されたんだろうか。はっ!物語の続きを考えるって、野村美月病に罹患中じゃないかっ!

yusuke22的に、2008年断然No1の文学少女シリーズ。そして、yusuke22の30年近い人生の中で、影響を与えた書物ベスト10に入る文学少女シリーズ。今回も、文句なしの星5つ。

*1:途中まではコノハくんは琴吹ななせとくっつくと、誰もが予想していた、はず。そこから、6、7、8巻で遠子先輩が大逆転。野村美月に言わせると、遠子先輩エンドの伏線は十分に張っていたらしいが、わからなかったなー。読み返してようやく遠子先輩エンドの伏線に気づいたわ。

*2:そして、これは、短編の朝倉美羽の図書館バイトの物語。