今後のブックオフの立ち位置について&ドラゴンマガジン読書感想

http://www.asahi.com/business/update/0529/TKY200905290229.html
うーん、これは仕方がないよな。著作者に一円も入らないのは法的に仕方がないにしても、法律を盾に何にもしなくていい、というわけでもないし。法律はあくまで正当化根拠(≒できるかできないか)であって、妥当性(≒すべきかどうか)とは違うからなー。
著作権が及ばないというブックオフ側の主張は、もちろん成立する可能だけど、それで万事が解決するのか、と言われるとそうでもない。実際の問題としては、ブックオフは他人の褌で相撲を取っているだけ。著作者に対してなにも払わない。
出版側は対抗措置として初回特典や豪華な付録を付ける。当然、値段は、出版に跳ね返る。
あるいは薄利多売で、コンテンツ大量投下。そのコンテンツは玉石混淆。は?っていうのも結構ある。その中で、売れたものだけを引き延ばし、それにおんぶに抱っこで出版社側は利益を上げる。編集者や作家だってね、霞を食って生活しているわけじゃないので、やっぱりお金は必要なんですよ。無理に利益を上げるために安価な手法をとることは逆に危険なんですよ。
中古市場は小規模で、ちまちまとやっていたから、現在の著作権があるのであって、今の状況では、健全な市場を歪ませてしまう。ブックオフフリーライダーなんだから、そこを堂々と主張されてもね。法的な問題はないが、企業イメージの問題が、、、まぁ、自分はこんなこと気にしない人だから、企業イメージは本質じゃないけど。それにしても、現在の規模のブックオフは、消費者側としても、健全ではないよな。もちろん、絶版になった本や流通が少ない本を手に入れやすくした、という貢献はあるし、読書愛好家としても、本を捨てることには抵抗があるから、古本屋はあった方が良い。そして、yusuke22をジュブナイルポルノの道へ引きずり込んだのは、なんの因果か、ブックオフで間違って神楽陽子「ウェイトレスパニック」を手に取ってしまったからでもある。↓この本ね。
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ブックオフの存在自体は否定しないし、ブックオフ=古本業界全て、として扱う論調はそもそも不適当である*1。しかし、ブックオフが企業として出版市場の一要素を占めるほど大きくなってしまった以上、何らかの市場の流通を公正にする役割は担うべきであろう。もっとも、この「担うべき」というのは、はっきりとした拘束力があるほどの「べき」ではないので、あくまで自主性に期待するしかないが*2
yusuke22としては、売る本を10円くらい値上げして、著作者側にもお金が回るようなシステムがいいんじゃないかなーと。105円の本が、115円、120円で販売されても、販売には影響がない程度だと思うがね。

自分の買い物傾向としても、やっぱ、応援したい作家、好きな作家は正規の値段で本屋で買うなー。市場規模が小さいジュブナイルポルノは特にその傾向が強い。もうこれは当たりも外れも楽しむ、と割り切っているからね。ライトノベルは、3〜4割くらいがブックオフかな。一般小説、お試し作家はブックオフで買うことが多い。確かに、たまに正規の値段を貰っても絶対に読みたくないくらい、つまんない作品に出会うことがあっても、105円だからいいかーって諦めがつくし。

ま、酔っ払い記事はこの辺にして。
今日は、件のブックオフで小説を少々。メロンブックスジュブナイルポルノを2冊、ゲマズで桜庭一樹を3冊とドラゴンマガジンを購入。ドラゴンマガジンで一番楽しみにしているのは、スレイヤーズリウイの老舗陣でも、鋼殻のレギオス生徒会の一存の新看板でもなく、「くわがたツマミ」だということは禁則事項です。
今回のドラマガ購入の目的は、木村心一「これはゾンビですか」が自分に合うかどうかを判断するため。最近やたらプッシュされているから、今回ので面白かったら買おうかな、と思っていたが。うん、文章が自分に合わない。ところどころに小ネタが入るが、生徒会の一存ほどテンポが良くない。「おまもりひまり」や「ひめぱら」ほど、セクシーさがない。これなら、ドラマガ短編に掲載された「蒼穹のカルマ」や「ハイスクールD×D」の方が、まだ自分に合うかな。ゾンビは今回で購入予定から外れた。

新作紹介の中で面白そうなものメモ
瀬尾つかさ「白夢」←読みきり面白い。ただし、設定についていけるか難あり。
淡路帆希「花森の竜の叙情詩」
清水マリコ「ハートレス/ハートフル」←特に惹かれた。
有川浩「三人のおっさん」
・端智志記「リビングデットファスナーロック」
……まだわかんないけど、今後、買うかも。そして、新作紹介の中で、栗本薫「クイン・サーガ」があった。編集者は予想していなかっただろうけど、やっぱり気になる。追悼します。

さーて、まだ全部読んでいないけど、感想、感想っと。やっぱり、ここは、みかづき紅月おまもりひまり」から。
緋鞠のアイドル風味のイラスト可愛い!!これだけでもうニヤニヤもんです。このイラスト、全く本文に関係ないけどね。
読んでて思ったのは、みかづきセンセも、なんか、小説で遊ぶ余裕ができたのかなーと思った。今回の小説は特に。
本人のブログや小説を読んだりしていると、みかづきセンセって、堅いイメージがあるんだよね。「もー、ちょっと、男子!掃除サボってないで早くやんなさいよ!!」って言ってそうな感じ。上で酷評した木村心一や遅筆作家・火浦功みたいにぶっ飛んでいる感じじゃなくて、むしろ、真摯な努力家で、育ちが良い、堅実な人間なんだなーという印象がある。オタクになった洞木ヒカリ?がイメージに近いかも。悪く言えば、説教臭い、お堅い感じが小説に反映されているとも言えるけど、yusuke22は、みかづき紅月作品の、そういうところ、嫌いじゃないです。はっぴぃえんどは、真摯な努力を積み重ね、悩んだ者だけが到達できるんです。
ところが。今回の短編小説はかなーり遊んでる。雰囲気は「放課後トゥーランドット」と似ているかな?やっぱりここでもガンダム。お主も好きよのぉ・・・みかづき*3。楽屋トークあり、小説内キャラのメタトークありで、作者本人は楽しんで書いたのかなと。作者と登場人物の会話って、書いている様子を横で眺めると一人ツッコミ、一人ボケでぬふぃひぃ、みたいな表情なんだろうけど、書いている本人は楽しいんです、きっと。読者としても、たまにはこういう息抜きがあると嬉しいな。小休止的で。
みかづき紅月センセもアニメ化楽しみにしているんだろうなー、と作品への思い入れが伝わる短編でした。

ほかにも読んだけど、感想書くのはまた今度。

6月2日追記
「これはゾンビですか」の木村心一の文体ってハルヒを意識している。しかし、彼の文章って、ニコ厨やアニオタが小説を書いたのであって、小説家がヲタクネタを文章に取り入れているんじゃないんだよなー。「南斗人間砲弾」・・・わかるけど、わかるけどさー。ヲタネタ満載でばらまくのは生徒会の一存くらいで、それ以外はチョイ出し程度で十分だと思うよ。ネタが枯渇すると途端に飽きられるよ?きっと。生徒会の一存のセッキーナも、マテゴではふつーの小説書いているし、彼は一応小説が書けるからヲタネタ満載でもアップテンポで一気に読ませるんだから。
ところが、木村心一って、視点がぶれるのって、意識してやっているの??とてもそうには思えないが。

*1:例えば、小規模の古本屋はどうするんだよ?マニアックすぎる専門書って流通が少ないから、そういうのを専門に扱っている古本屋にいくしかないんだよね。

*2:だってね、企業イメージを損ねようが、安ければ消費者は飛びつくからね。

*3:お代官様と越後屋風味で再生してください