山田詠美『120%COOL』

120% coool (幻冬舎文庫)

120% coool (幻冬舎文庫)

山田詠美が書く、大人の恋愛モノ短編集。
まー、今回も山田詠美っぽさが楽しめた。山田詠美の魅力とくれば、普段気付かない、普通ならスルーするところを、独特の感性で拾って、そこの存在感に気付かせることだと思っている。今回だと、セックスするときの目線がどこにいくのか、という点。
表題作、120%COOLは、COOLというよりも気障。さんざん遊び倒しておいて、別れた外国人たちと、二人っきりの時に、お前としたいだなんて。日常的に2人の男に犯されている女と犯す方の男、という異常な状態の下で、カッコいい恋愛表現をしようとしたらああなるしかないなー、と。COOLさが溢れている。

ただ、うーん、全編通してどうも好きになれなかったなー。山田詠美だと、「ひよこの眼」のイメージが鮮烈過ぎて大人の恋愛ものは違和感がある。やっぱり、小学校、中学校、高校のころを(多分実体験に即して)書いた小説の方が好きだ。『風葬の教室』、『眠れる分度器』、『僕は勉強ができない』あたりか。総合評価としては、悪くはないが、格別良くもない。星3つ。