ヤマグチノボル「ゼロの使い魔17巻」

サイトが窮地に追い込まれたときに駆けつけるルイズ、という構図は珍しい。っていうか、ルイズがかっこいい。これは今までになかなかない、新鮮なかっこよさだわー。
ゼロの使い魔の二人を「絆」だと思っていたけど、作者によって否定された。ルイズとサイトの二人は、「鎖」。「運命の鎖」(247頁)。ただの高校生だった平賀才人は、異世界の超絶美少女・ルイズと離れられないし、二人は運命からも逃れられない。運命は、秋葉原と、ハルケギニアという、異世界をつないだ。サイトにとっては、ファンタジーの世界。二人は、運命を受け入れるし、肯定する。肯定せざるを得ない現状を受け入れる、といった方がいいのかな。それでも。よくありがちな、自分が運命の流れに沿ってしまって、自己の意思が介在していない、おおきな決定に悲観するのではなく。あるいは、悲観のあまり、大きな決定に逆らうのではなく。ルイズとサイトは、ハルケギニアの中で、運命と対等に向き合って、時には運命に定められた鎖を利用して、なお、自分の意思で、二人の関係を構築し、ハルケギニアの未来を切り開こうとしている。
あー、前も書いたけど、やっぱりルイズはサイトの嫁なんだよ。ルイズはサイトが必要だし、サイトにはルイズが必要。ルイズがいないと、あんだけ弱いのかー。二人の関係って何と表現すればいいんだろう。信頼、ご主人さまとペット、母親と子供、家族、、、うーん。それ以上かな。今回は特に名言はないけど、ルイズとサイトの二人の信頼関係を確認できた。

あと、感想を思いつきで並べます。
・アンリエッタ様・・相変わらず、悪女です。女としては魅力的だけど、好きになれないタイプです。でも、サイト争奪戦に参戦する意思をはっきり宣言したことで、ルイズとの関係も回復したし、国を想うあまり、自分の欲求を抑え気味なアン様にとっては一つの成長かも。
・ルイズとジャネットの危ない関係・・・ちょっといい。
マリコルヌへ→冗談は腹だけにしといてください。
・前回からの伏線だが、ティファニアとジョゼットの使い魔には誰がなるんだろう。そのまま登場させないまま物語を終わらせるのかなー。まさか、ねー。
・16巻を読んだ時に、デルフが生き返りそうな気がすると思っていたんだが・・・やっぱりここは死なせたままなのね。好きなキャラだったんですが。無理に生き返らせろ、とはいいません。でも、ここで死んだことを今後の物語の鍵にしてほしいなー、と。ゼロの使い魔の中で、サイトの仲間、周辺人物が死んだのは、これが最初だからなー。
次巻はタバサ救出、再び?相変わらずベタだけど、どきどきさせる毎度の展開は好きです。どストレートな王道には、王道物語なりの楽しみ、というものがあるんです。星5つ!