ワカツキヒカル『To Loveる―とらぶる―危ないガールズトーク』(集英社・2009年)
To LOVEる―とらぶる― 危ないガールズトーク (JUMP j BOOKS)
- 作者: ワカツキヒカル,矢吹健太朗,長谷見沙貴
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/08/03
- メディア: 新書
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ワカツキヒカルこと、わかつきひかる(=若月凛)によるToLoveるのノベライズ版。
前も書いたけどわかつきひかるは、ブログを見ている限りでは、ジャンプも毎週買っているみたいだし、えっちぃ描写もできる人だし、適任かもしれない。
さて、読んだ感想を書きます。
原作の雰囲気を壊していない。やっぱここは大事だよなー。原作組としても、やっぱりそこは嬉しい。
あと、読んでて思ったのは、すっげー、わかつきひかるっぽい。同じ作者だからそうなんだけど、特に最後の天条院沙姫の章。わかつきのお話の組み立て方の特徴とくれば、王道、直球で、綺麗な、上品なオチ。絵本みたい*1。マンネリと言えばそうかもしれないけど、これはハッピーエンドを求める作者の想い、なんだろうな、と思う。たとえば、この前の作品みたいな、ね。今回のノベライズ版も、お上品。王道で綺麗なオチ。これについては評価はわかれるかもしれないが、To Loveるという作品自体、ベタな事を思いっきりやるというスタンスで支持を集めている作品だから、この方針は、原作の方向性と適合している。お話も原作にありそうな展開。あんまり人に嫌われるキャラを造らない、という方針にも合致している。
お話の内容としては、沙姫様のエピソードが印象に強く残る。劉我なんて、原作組でもぱっと思いつかないんじゃないか?ちゃんと原作読み込んでいるんだなーと。
メインヒロインのララや、春菜ちゃん、主人公のリトだけじゃなくて、天条院沙姫やお静ちゃんのキャラを壊していないのは良いな。特に、天条院沙姫なんて、ただのタカビーなお嬢様キャラと扱われそうだけど、違うんだよねー。ここは嬉しい。細部までちゃんと読んでいる。この人、本当にお嬢様で、お嬢様であるからこそ、暴走するんだよね。でも、面倒見の良いところもある。今回は、沙姫さまの優しいエピソードと内面が見れたのがうれしい。ToLoveるキャラはみんな性格が良いんです。
個人的にはララがリトとの関係を進める話が原作の中でも好きなんだけど。あくまで番外編という位置づけのノベライズ版でそれを展開されると原作組の人が困るから、なのかな。ちょっとララ⇒リト成分が足りなかった。これは本編で、ということ、かな。でも、サブキャラの何気ない日常を描く、というノベライズ版の目的は十分に達しています。
えちぃ分はあんまりないけど、作品内容は、原作の雰囲気をうまく生かしていると思います。原作を壊さず、余計なものを足さず。良かった・・・美少女文庫読者じゃなくても満足できる、だろう。あ、でも自分は美少女文庫読者層だから、若干、美少女文庫作家には甘いかもしれない。
美少女文庫のエース、わかつきひかる。原作も熟読したノベライズ版。これで成功すれば、漫画原作者の道もありうるか?西尾維新も、独特の語感センスを生かして今活躍中だからな〜。
素朴な疑問としては、なんでわかつきひかるに頼んだんだろう・・・確かに美少女文庫の人気作家だけど。内容的には、集英社が抱える若手作家でもいいんじゃね?それとも、「ジュブナイルポルノ」という名前をつければ販促的にも話題になると思ったのかな・・・自分はToLoveる読者でもあるし、ジュブナイルポルノ読者でもあるから嬉しかったなー