宮部みゆき「かまいたち」

かまいたち (新潮文庫)

かまいたち (新潮文庫)

母親が宮部みゆき好きで、実家にはそこそこあるんですよ。そんな中から取り出してきた、過去作品。
舞台は江戸時代、ちょっと超能力要素も入っているよ!っていう設定。
この人は本質的には(今でいう)ライトノベル作家だよなぁ、と思いました。ブレイブ・ストーリーを出している、というだけではなく。キャラクターを作ってその人を軸に生み出すエンターテイメント。推理小説っていうよりも。
まぁ・・・森村誠一推理小説もキャラクター依存構造だし、もっと前を言えば横溝正史江戸川乱歩もそう。この辺はライトノベルというジャンルが確立する前史と位置づけられるかもしれない。
エンタテイメント色が強いからなのかな?ちょっと古いおじさん世代の人で、たまに「推理小説を読んでいても読書力は鍛えられない」とか言う人がいる。私の父親がそうだし、先日お話する機会があった50歳のとある方もそんな話もしていた。「推理小説を読む奴は読書家とは言えない」って。
典型的な「エンターテイメント色が強い=低俗」という発想。小さい頃はそういう発想に反発したこともあったが、今はスルー。ま、推理小説が低俗な文化でもなんでもいいんですけどね。私は人生の指針を模索するために小説を読んでいるのではなく*1、単なる暇つぶしの一環として読んでいるだけで、複数の暇つぶしの一つに過ぎないわけですよ。ぼーっとしているよりも、結果として何かを得られたならばそれでいいんじゃないか、というだけです。何かを得るって、大仰な感じだけど、たとえばこの人と友達になりたいなーとか、こういうときってこんな感覚だよなーとかその程度です。

なんかいろいろ毒を吐いた感じになってしまっているけど、この宮部みゆきの本は、暇つぶしとしては、十分に役に立った、そこそこ面白いストーリーが堪能できた、ということで星3つ。

*1:人生の指針を模索するために小説を読む奴が話した「路傍の石」の感想が、言語化されていなかったときにはついつい笑ってしまったが。