上原りょう「Wプリンセスとラブ同棲!」+小骨感について

あー、上原りょうの本もはてなでは表紙絵なしかー。美少女文庫はアダルト商品じゃないのになぁ・・・これが規制に引っ掛かるとしたら、条例次第だから地域によりけりだろうけど、どこかの地方では、美少女文庫も条例に引っ掛かるのかな。

さーて、感想でも。

ヒロインは二人。アンヌとエリーシャ。

  • アンヌ

ここまで甘えん坊なヒロインは逆に珍しい。世間知らずなお姫さまキャラをやり過ぎている感じが新鮮。台詞を脳内ではくぎみーの甘ったるい声で再生。それが良く似合う。ただ、てぃんくるの絵からすると、おっぱいが大きい、という属性はあんまり目立たないかも。69頁の、破瓜を迎える直前の、覚悟がまだ定まっていない、不安気味な表情は好きなんだけどねー。

  • エリーシャ

もう一人。中東。浅黒い肌。そして、ポニーテール!セックスしているときにポニテがふりふりする描写があって、たまらんですよ。上下左右に揺れる様をイメージしながら読みました。強張った態度が氷解していく様は、やっぱりセックスって人とのつながりをダイレクトにするからだよなー、と。

総合評価で星5つ。

今月は当たり月だわー。だけどやっぱりわかつきひかるが断トツかな。敢えて順位をつけると、わかつきひかるみかづき紅月=上原りょう。でも、みかづき紅月作品も、上原りょう作品も、他の月だと総合評価で一位になるレベル。


お・・・と、遠野渚「ウチの妹がここまでMなわけがない」が欠けているとの指摘もあると思いますが、これは選考外とします。この点についても思ったことを。

人気作家には、肩書がつきます。たとえば、サムライガールみかづき紅月さん、Myシリーズのわかつきひかるさん、メイドになります!の青橋由高さん、など。「○○の〜さん」との肩書が付いた作家にとって、その肩書は、自分で自分の限界を越えなければならない、というプレッシャーでもあると思います。また、肩書がない作家にとっては、早く肩書が欲しいと思っているかもしれません。

でも、今回は・・・・・・タイトルに釣られたネット界隈で取り上げられてしまって、注目を浴びてしまっただけ*1。しかもまったく実績のない新人がパロディのタイトルで。今後、「ウチ妹Mの遠野渚さん」って肩書で呼ばれることになると思うけど、作者の(作家としての)人生にとって、これは嬉しいことなのかな。

美少女文庫編集部としては、インパクトが強いタイトルで勝負して売れたわけだから商業的には間違いではないんだけど。別に私も、エロライトノベルがパロディをすること自体は否定するものではないし。みやま零さんの指摘には同感する。

これが森野一角や巽飛呂彦だったら別にかまわないんだよねー。もうすでに実績はあるし。「あー、編集と悪ノリやって注目浴びたよー。美少女文庫も有名になってきたな―。でもタイトルだけパロで釣るのやり過ぎじゃね?さいみん!で味をしめたと思うけど、こーいう悪ノリは1〜2年に1回くらいしか効かないと思うよー。二匹目のドジョウはあんまり狙わない方が良いと思うよー」くらいにしか思わないわけ。

でもね、これが新人のデビュー作なら話は別。「ウチ妹Mの遠野渚さん」。今後、こう呼ばれることになってしまう。あるいは、「小骨感を与えた遠野渚さん」か。まー、作品のタイトルや方向性を決めるのは編集者なので*2、作者本人にだけに還元できる問題ではないんだけど。

デビュー作で、作品以外のところで注目を浴びてしまったね、ということで今後の作者の方向性が心配です。作者としても辛いだろうな。なんだかんだで、2〜3年たってしまえば、ヒット作を出して、今回付いてしまった肩書に代わる、別な肩書で呼ばれるかもしれません。なんにせよ、真価が問われるのは次回作です。楽しみにしております。



以下、参考にしたもの。
http://s01.megalodon.jp/2009-1129-1337-25/blog.livedoor.jp/miyama0/archives/50318000.html
http://blog.livedoor.jp/metabodepon/archives/1961238.html

*1:もちろん人気絵師のみさくらなんこつ氏効果もあるとは思うけど。

*2:いつだったか、わかつきひかるブログに書いてあったはず。