ジャギ様


極悪の華北斗の拳ジャギ外伝 上 (BUNCH COMICS)

極悪の華北斗の拳ジャギ外伝 上 (BUNCH COMICS)

極悪ノ華 下―北斗の拳ジャギ外伝 (BUNCH COMICS)

極悪ノ華 下―北斗の拳ジャギ外伝 (BUNCH COMICS)

北斗の拳のジャギ様のお話。うーん、作者による二次創作だと思えばいいのかな。原作といくつか設定に矛盾あり。

以下、原作の話。
ジャギ様は劣等感の塊。ケンシロウ北斗神拳の家系。ラオウ、トキだって、北斗琉拳の家系。まー、元をたどれば一緒だけどね。要はエリートですよ。それに対し、キムさんとかよりも上回り、伝承者争いの最後に残ったとはいえ、ジャギ様は一般人。あくまで、一般人の中で北斗神拳マスター。まー、バランとかもいるけど、やはりリュウケンから直接学び取っている分だけジャギ様の方が上でしょう。

原作に対し、二次創作の話。
ケンシロウに対する強烈な劣等感。リュウケンが父だったのに、「師父」になってしまったとき、リュウケンからの父としての愛が自分に向けられなくなったことを知る。そして、一般人のジャギ様にとって、エリートたち(ラオウ、トキ、ケンシロウ)はどうやっても勝てない相手。特に自分よりも後になって学び始めたケンシロウにさえも。今作を読んで、「兄より優れた弟はいねえ!」というジャギ様の有名なセリフは、強烈な劣等感からきていることをしみじみ理解できた。

そんなジャギ様も、北斗の拳の登場人物よろしく、哀しみを背負って生きている。好きな人を守れなかった。ジャギに恋し、ジャギのことを真剣に考えていたがゆえに、手を抜いていたケンシロウの甘さを自覚させた、アンナ。核の炎に包まれ、バイオレンス荒野と化した世紀末、ハイエナ共に輪姦される。一歩のところでタイミングが狂い、救えない。アンナがいなくなったあと、ジャギに残るのは、どうしようもない虚無感だけ。何もない。一般人よりも強いとはいえ、ジャギ様が生きたい世界では、弟には負けた。護りたい人も、もういない。師父・リュウケンは、心の中でジャギを思うものの、師父であるがゆえに、父としての、愛の言葉を伝えることができない。ジャギ様の哀しみ。

まー、この辺は賛否あると思うなー。原作だとジャギ様って、珍しいくらいの、救いようのない悪役で、であるからこその(ネタ的な意味も含めた)魅力なんだけど。まー、ジャギ様を救う二次創作の一つとしてならば、この漫画もあり、かな。

ジャギ様を、単なる悪役ではないとして、救おうとした二次創作としては、有名なコピペ↓。

ジャギの日記
199X年 4月10日
今日、正式に北斗神拳伝承者がケンシロウに決まった。
ラオウ兄者は「親父は伝承者の選択を誤った」と言ってたが俺はそうは思わねえ。
ケンシロウの拳こそ、無法の荒野と化した世界を救うもんだと俺は確信してるんだ。
今までケンシロウの面倒を一番見てきた俺が言うんだから間違いねえ。
とは言え、奴には心配なところがひとつある。そうだ、ケンシロウは優しすぎる。
いずれ戦う宿命にある南斗の野郎共は、皆が正々堂々な戦いを仕掛けるとは思えねえ。
ケンの優しさが、ケン自身を危険にさらす事は十分にあり得る話だ。
俺は今までケンの優しさを捨てさせるため、ケンとの組み手の時には武術家としての心を痛めてでも
含み針を打ったり銃を使ったりしたが、それでもケンは兄貴である俺にすら手加減をしているようだった。
これじゃあいけねえんだ、お前は俺の大事な、可愛い弟なんだ。
絶対にお前を危険な目には合わせたくねえんだ。
その為には、俺がケンの甘えを捨てさせる為、命を投げ打ってでもこの世は外道が使う卑怯なやり方がまかり通ってることを教えなきゃなんねえ。
許してくれケンシロウ、俺がお前にひどい事をしてきたのは、お前を北斗神拳伝承者の名に恥じぬ、立派な男にしたかったからなんだ。本当にすまねえ。
おっといけねえ、涙でノートが破れちまった。こんなめでたい日に涙なんか出してちゃ縁起が良くねえや。
ありったけの友人を誘って、今日はケンを盛大に祝ってやらなくちゃな。

まー、これと同様の二次創作だと思えば。北斗の拳が好きな人は、二次創作だと思って買えばいいじゃないかなー。