杉井光「すべての愛が許される島」

人気作家・杉井光の小説。短いからサクサク読めると思ってかってみたけど、意外と時間がかかってしまった。
時間がかかった理由は、小説の構造のわかりにくさ。作者なりの仕掛けが、複雑な構造となっている。

まず、主要な登場人物は、実は3人。まー、作者は狙ってやったんだろうけど、ここがわからなかったから、最後の最後まで混乱してしまった。まず、組み合わせについて

  • 先生=父親 & 中学生・咲希
  • 大人・咲希 & 直樹

咲希は、大人版と子供版の二人。つまり、時間軸が離れている話をかぶせながら展開しているので、最初は登場人物が四人だと思ってしまったわけ。

とりあえず、父親自身は、咲希に対して、性欲を感じ、同時に父親としての愛情をいだいている。しかし、近親相姦が禁忌だからこそ、自身から遠ざけようとしているのは感じられた。咲希の望み自身は最終的には叶う。

ただねー、咲希の成長、自覚の点についてはよく理解していなんじゃないかなーと、自分自身に物足りなさを感じてしまう。読者として、実は物語の構造についていくのが精一杯で、中身についてコメントできるほど読めていないというか。もっと、この小説の本質的な部分を、自分自身は感じ取っていないんじゃないかと思ってしまう。これ、時間が経ったら再読しよう。