七海ユウリ「お嬢様メイドはヴァンパイア!?」

今日は突然、水曜締切の仕事を頼まれたので、終電帰宅でした。

さて、1月刊の美少女文庫第二弾・七海ユウリ

今まで読んだ七海ユウリの小説の中で、これは一番良い!2010年MVP候補(と言ったら少し言い過ぎかも。)

でも、これは良いエロラノベ。今まで、七海ユウリはもう美少女文庫作家の中ではダメだな、「葉っぱ水着パラダイス」なんてカスだろーと思っていたけど、今作で完全に見直した。今までダメ出ししていてごめんなさい。作者本人に、何があったんだろう?2009年あたりから急激な成長を感じる。

この小説の良いところは、ヒロインの葛藤が滲み出てくる点。

お嬢様メイドは、ヴァンパイアとして、美味しい精液を味わいたい。そのために、主人公とセックスをする。最初は、美味しい精液を味わうためのセックス。でも、一緒に暮らすことによって、徐々に、主人公とセックスをすることに重点を置き始める。最初、ヒロイン内での主人公の位置づけは、ヴァンパイアの食料に過ぎなかったわけだけど、徐々に、恋人へと変貌を遂げていく。これが、第一の葛藤。そして、変貌を遂げていく過程にあるのは、主人公を「血の奴隷」にするという目標のため。そのためにも、主人公を健康体にしようとするわけね。これが、女性らしい、かいがいしさを示す動機になっている。

そして、いざ、主人公を血の奴隷とするとき。血の奴隷となってしまうと、意志が喪失してしまう。だから、美味しい血と主人公への恋愛感情の板挟み。これが第二の葛藤。当然のごとく、恋愛感情をとるわけだけど、恋愛感情を抱くまでの過程(途中のセックス)が動態的で、読んでいるこっちとしても、なんだか、応援したくなるような、こんな彼女に想われたら幸せに思うような。まー、最初がマイナススタートだけど、徐々に恋愛ゲージが溜まっていくわけね。で、その過程が丁寧なんだよね。鉄泉を飲ませようとする甲斐甲斐しさなど、ね?

あとねー、278頁。

「あ・・・・そこ、ん・・・・指の形わかる・・・・あんっ」

このセリフに、ものすごく女性作家視点を感じた。これ、女の人だからこその、挿入される立場からの描写だよなー。男だったら、感じ取れないから、指の形なんてわかりっこないもん*1。こういう視点も新鮮でいい!!もっとやって欲しいです。やっぱり、私が男である以上、女の人にしかわからない、独特の領域があると思います。意識的に書いているのか、は別の問題ですよ。みかづき紅月さんやわかつきひかるさんの書いたものを読んでいても感じますねー*2

ひなたももさんのイラストもエロくて可愛いです。

ただねー、不満もないわけではないんですよ。温泉のところでは、タイトルにある、おっぱい洗い描写が全くない。多分これは尺の関係でしょう。
でも、この点を引いてもこれは良作。当然、星5つで!!

*1:あ、批判するつもりではないので、誤解なきように。

*2:みかづき紅月さんについては、以前に書いたことがあるので、そちらを参照して下さい。http://d.hatena.ne.jp/yusuke22/20090502/1241282182