長岡マキ子「中の下!」
中の下! ランク1.中の下と言われたオレ (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 長岡マキ子,ごまえ
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2010/02/20
- メディア: 文庫
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富士見ファンタジア大賞金賞受賞作にしてデビュー作。ふと手にとって、パラパラとめくった結果、面白そうなので購入。
なんかねー、主人公の瀬尾成道くんの序盤の痛々しさが・・・自分の過去の歴史にもグサグサ刺さる!!
俺ってカッコいい、すべての女性は俺の魅力の虜だ、どうだこの髪型!俺って、カッコいいから、周りの女子も俺のことばかり気にしているんだぜ!勉強、スポーツはいまいちでも、クラスの中で恩を売ってあげて、優しさアピールしちゃうくらい、デキる男なんだぜ
雰囲気的にはこんな感じ。・・・・まぁ・・・成道くんのように、ここまでデフォルメされたほど酷くはないけど、私も過去にはそれなりに。
うわー、「あんなヤツ、適当におだてておけば言うこと聞くんだろ」という女子の態度が突き刺さる。
・・・・そうなんだよね、、、きっと瑞本さんを狙って手芸部に入ったことなんて、周りの人からはバレバレなんだよね。本人は客観視出来ないから気づいていないだけで。
なんかねー、ヒロインの瑞本絽美さんみたいな女の子、自分の周りにもいましたよ。小さくて可愛い。犬みたい。とにかく愛想が良くて、頑張り屋。性格も良い。そんな人は、誰に対しても優しいので、ウザい自分に対しても、優しいんです。
実は、登場人物がそれなりに悪い方での特徴を備えているのに対し、瑞本絽美さんは、至って優等生なんですよ。というか、ロミロミ可愛すぎ。ま、簡潔に登場人物を紹介すると、下の感じ。
- 瀬木成道
ナルシスト。自信過剰。でも、客観的評価は、中の下。
- 石田晋哉
悪友。センスの悪さは、瀬木と同レベル。
- 黒川将
イケメン。細マッチョ。成績良い。これだけ見ると、パーフェクト。でも、美的センスが絶望的にダメ。ドカベン岩鬼並み。悪球打ちというか、悪球しか打てない。黒川にとって、可愛いはブス。ブスは可愛い。
- 妹尾雪菜
もう一人のヒロイン。地味だけど、実は化けると可愛い。家は不幸なタイプ?謎が多い表紙のキャラクター。最初のカラーイラストでも、本名が謎なまま紹介。でもその必要があったの?普通に出てくる。ということは、まだ次巻以降の仕掛けがあるってこと?
- 真弓梨佳
教師。巨乳担当。美人。だけど、お金が大好き。金のためなら何でもあり。
まー、ほかにもぶっ飛んでいる成道の爺さんや叔母、性格がネジ曲がっている金持ちお嬢様もいる。そんな中で、絽美さんは、至って普通の美少女というか、模範的なアイドル。ケーキに顔を突っ込んでしまう親しみやすさもあるし、身体を近づけて一緒に写真も撮ってしまう。
「成道くんのこと、好きになって良い?」
「・・・・なんてね」
・・・・これ、もう直撃でした*1。だから、逆に、絽美さんの異常さが際立つ。周りが変な人ばかりで、絽美さんだけ、際立って可愛い。本当に可愛い。可愛いの王道。「萌え」という成分を透析して、さらに結晶化して、集めると、ロミロミになる。cuteという言葉で形容するのが適切。
さて、絽美さん。実は裏があったりするんだろうかねー。このまま可愛い路線で行くのかねー。で、絽美さん→成道フラグは完成でいいの?裏人格があったりすると、このフラグは、表人格のときだけになるのかなー。これは一巻だけだとわかんないなぁ〜。私の深読みしすぎかな〜。
これは、成道くんが、他人の意見を聞きながら努力する話です。その前に、まずは他人の意見を聞けるようになること。「中の下」と宣告された後は、少しずつだけど、他人の意見にも耳をかたむけるようになっています。だから、石田くんとの違いも出てくる。
後半の方になってくると、「俺ってカッコいいんだぜ!」オーラが、実はうまい具合にギャグに昇華されているんですよ。序盤のそれは痛々しさだけなのに。
例えば、縁日での台詞*2。
実はオレ、全盛はカウボーイに殺された水牛でさ、射的はトラウマが
これ、成道くん本人としては、苦しい言い訳なんだけど、聞いていると単なる冗談にしか聞こえないよなー。だから、ナルシスト、過剰な言い訳として、マイナス評価されることもない。前半だと、ウザイくらいの言い訳がましい男だから、マイナス評価されことが多いんだけど。
あ、でも、英単語の勉強もあんまり成功していないよなー。これは次回以降に持ち越して下さい。まあまあ面白かった、ということで星4つです。次巻以降も買うかな。まだわかんないな〜。