十文字青「絶望同盟」

絶望同盟 (一迅社文庫)

絶望同盟 (一迅社文庫)

以前読んだモノのシリーズ。ふらっと見て、前作を思い出し、購入。前作と同シリーズといっても続きものではなく、共有する舞台が同じだけ。また小野塚那智が傍観者として出てくるけど。

社会的生と他者承認の話は、前作と同じ匂いを感じる。自我と他者との乖離。文学部出身だけあって、哲学には詳しいんでしょう。で、今作も、ちょっとスノビズムに走っているところも感じられてしまう。まー、私は嫌いじゃないけど。

・・・中身については、なんていうのか、、余計なものってのがないと人生楽しくないよね!って感じがする。特に私は読んでいて木羽の生き方に近い発想をしていた時期があったから、余計に木羽の立場に立って理解してしまう。余計なものは、セックスをするときの愛情だったり、花だったり、ソイジョイカロリーメイト以外の食物だったり。特にセックスをするときの雫石サナ。サナはぼんやりしているんだけど、セックスをするとき、あるいはした後は、やっぱり木羽に対して特別な感情を抱くものなのかね。

人間臭さ、ダメっぽさを極端に表わしたらこの小説になる。最後は、絶望している人で集まり、集まることでの意識の共有。共有は友情。友情は思い出。

小野塚那智は究極超人。このシリーズにおいては、すべてをこなす、神たる傍観者の役割なのかなー。
・・・うーん、感想を書きにくい。面白いのは間違いないんだが。少なくとも、前作のヴァンパイアノイズムよりははるかに。