スマッシュ文庫短評

さて、これでスマッシュ文庫創刊記念の2冊を読みました。みかづき紅月さんの「教えて!マーメイド」の評価も同様ですが、上記の評価は、スマッシュ文庫が狙っている「文字が苦手な人、漫画に親しんだ人」でも手にとって読んでもらえる、というのを踏まえた上での評価です。さすがに岩波やPHP出版から出ている学術書(大学の講義などで使われているもの)と同列で評価できるわけはない。あくまでその出版社の意向というか、狙っている層を念頭においた上での評価です。その意味では、創刊2冊とも、次のような特徴があると思います。

  • 挿絵が多い。
  • 薄い。
  • 安い
  • とりあえず、萌え。
  • いわゆるオタク層(ミーハー含む)の内輪受け。例:ニコニコネタ、「だが断る」など。

とにかくライト。lightなnovel。ライトノベル。軽薄小説。お手軽。3分クッキングは、実は手が込んでいるのでキューピーには例えるのは不適切。例えるなら、スーパーの惣菜みたいな、手軽さ。

たぶん、ターゲットは中学生のオタク初期かなぁ〜。メディアワークス文庫が起用している作家やお話を見ても、自分とほぼ同じ世代をターゲットとしている。これに対し、スマッシュ文庫は、明らかに私は外れている。私は、メディアワークス文庫がターゲットとする年齢層で、高いものを嗜む趣味はない。だから、小説を買うことは(私にとっては)贅沢な趣味ではなく、むしろお金がかからない趣味。手にとって気に入ったら、読める時間なども考慮して、買うかどうかを吟味する。これが鉄則。だから、スマッシュ文庫の(私にとっての)利点は、薄くてサクサク読めること。スマッシュ文庫にとって、私は「良いお客様」かもしれないが、メインターゲットではない。活字は常に読んでいます。というよりも、私の仕事で活字が苦手なんて、間違っても言えない・・・

さて、この路線が市場に受け入れてくれるかどうか、です。これは観察のしがいがあるとおもうなー。狙っている購買層は、おそらく、中学生、高校生男子。「オタク」というものになりたいなーと思っている人たち。薄くて安い。イラストも多い。これがレーベルの特徴。何かひとつくらい、レーベルの看板になるようなシリーズが出せればいいんだけどね〜。PHPとくれば政治や経済が得意な出版。どちらかというと、大学の講義などで使われているイメージ。女子大生会計士の事件簿なんて小説も軽くヒットしたから、今度は大学を舞台にした異能系単位取得ストーリー「とある政経学部生の取得単位目録」なんて出せばいいんじゃないかな(笑)