柴村仁「ハイドラの告白」

ハイドラの告白 (メディアワークス文庫)

ハイドラの告白 (メディアワークス文庫)

問い:二匹目のドジョウは見つかったのか?
→応答:現在のところ、いませんでした。

「プシュケの涙」に続く作品。プシュケの涙を期待して買うと、裏切られる。やっぱり、最大の謎・掛け軸の存在と布施正道の存在だよなぁ〜。これが明かされていない。

中身は、、、まぁ、前半は、自分の親が死んだことを諦める話。後半は、従兄弟に恋するグラビアアイドルの話。
あえて共通項を探し出すと、「血」。好きな女性の存在を世に残すために、女性の血*1を絵画に塗り込める画家。それと、従兄弟であるが故に、近い存在となってしまった少女。

女の子ってのは、ゴボゴボと血を流しながらニッコリ笑って仕事をするのだ。

これは、242ページの台詞。絵画という媒体を使って残そうとした、女性の血。前半の主人公が言い放っているように、血それ自体、たしかにグロい。気持ち悪い*2。でも、それを隠して、ニッコリと笑っているのが女の子。で、それと近しい血を持っている相手が、恋の相手。でも、それには、もう一人、近しい相手、すなわち、双子の弟が存在している。

うーん、不器用な人たちの恋というのはわかるんだけど、前半と後半のつながりがなぁーーー。プシュケの涙は好きで実は3回ほど読み返しているんだけど、、、、冒頭で述べたように、まだ疑問が残されている。唯一の救いは、続刊が4月に出ること、だろうか。これがなかったらもっと低評価になっていたと思う。星3つで。

*1:ただし、傷つけて得た血かどうかは明らかにされていない。女性は月に一度、血を流す時があるから、その血の可能性は残されている。

*2:170頁