ヤマグチノボル「烈風の騎士姫」

例によって二巻が出てから一巻を買うという、微妙に流行に遅れる男が読書感想を書いていますです。

烈風の騎士姫 (MF文庫J)

烈風の騎士姫 (MF文庫J)

パッと見の印象は「うわぁ・・・表紙絵がエロ過ぎだろ」、と。健康的な太ももと、若干突き出したポーズが、色気を出しています。これなら、バッカスのように、お仕えさせてください!と思いっきり頭を下げたくなるよなぁ。

さてさて。ルイズちゃんのお母様・烈風カリン様がご活躍される外伝もの。本編ではカリンは規則にうるさい怖いお母様というイメージなんですが、これだと何だか、昔のルイズを見ているみたいな、か弱い女の子。

作者があとがきでも書いているけど、美少女が男装していると、それだけでも絵になっちゃう。可愛いのに、隠さなければならない。気になる男がいるのに、自分が男だという建前を貫く必要あり。
特にキスされちゃって抱きしめられるシーンはニヤニヤものですよー。

「む、むね、さわった・・・・」
「ご、ごめん」
「キ、キスもした・・・・」

これは162ページより。でも、これはサンドリオンが、カリン(=カリーヌ)を、酔っ払って昔の恋人と間違えてしまったから。カリーヌという名前がたまたま同じなだけ。だから、カリンは、自分のことを他の女、特に昔の恋人と間違えられたことがはっきりして起こってしまうわけ。自分は男装しているから、女だと悟られてはいけないんだけど。

他の女と間違えて、キスまでして、胸まで触ったのだとしたら・・・。
ゆ る せ な い
そんな間違いで、自分の初めてのキスが汚されるなんて!

こうなるわけですよ(198ページ)。いやぁ・・・昔のルイズとサイトみたいな、雰囲気が蘇ります。カリンも、本当はサンドリオンのこと、気になっているんでしょ?でも、それがまだ恋だと気付いていない。ルイズ初期の、サイトを犬扱いしていたけど、だんだん人間に格上げしていくあたり。ツン→デレの過程は、極上の味です。

他の登場人物も本編に絡んでいるのか?

  • まぁ、展開的に、サンドリオンはルイズパパだよね、たぶん。ルイズパパって水の使い手だったか?これは確認の必要あり。モンモランシーの親だったらたぶんオレが泣く。
  • 土の使い手・ナルシスは、その名の通りナルシスト。おそらくギーシュの父親か一族だと思う。
  • さて、バッカスは誰なんだろう?火の使い手だから、、、コルベールの父親か、キュルケの祖父かなぁ。でも、キュルケの父親だったら色恋にも強いはずだし、ゲルマニア人だから、トリステイン王宮の衛士隊になるわけはないから、キュルケ一族の線は低そう。バッカスの本編での絡みはわからんなぁ。
  • アンリエッタのお母様・マリアンヌは、カリンに恋する美少女。しかもマリアンヌは王族だから無碍に扱えないし。これもどきどきポイント。美少女に恋される男装の美少女。その男装美少女には、好きになりそうな相手(サンドリオン)もいる。この板挟みが美味しいです。

さてさて、サンドリオンの敵・昔の恋人の方のカリーヌの顔見せも終わって、自分のやるべきことを見出した。なくなった村人のためにも、かつての恋人を倒す!カリンは男色趣味があるという誤解で、男装疑惑は消滅。ということで、一巻終了。ここから、あの厳格なルイズママにどうやってなるんだろう。カリンの剣の腕の成長。戦いを通じて、勇気と臆病さの自覚。虚勢をはることと、勇気は違う。おまじないの勇気ではなく、自分の心の底から湧き出た勇気じゃないと。そのためには、怖いことに気付く。あ、これサイトだ。ガンダールヴだけど怖いんだよ。ガンダールヴの勇気じゃなくて、サイト自身の勇気なんだよ。うーん、カリンがどのような過程を経るのか、楽しみです。カリンの最終形態は、読み手はわかっているんだから、その過程を楽しむ。これが今作の楽しみ方。
総合評価では星4つで。二巻も買うよー