みかづき紅月「こいびと以上、ともだち未満 はぶてる彼女」


土曜日にアニメイトに行ってラノベを購入してきました。本日の読書感想は、その中の一冊。

感想とはあんまり関係ないとこからスタートして申し訳ないんですが、今週の金・土と出張がありまして、ど田舎・温泉町に行くんですよねぇ。人口7000人ちょっと。まぁー、個人的な用事とタイムリーなラノベだなぁ・・・と個人的に思ってしまいます。

この小説の感想を振り返るためには、どうしても過去の自分と向き合わなければならない。こう書くとなんだかカッコいいこと言っているように感じられるけど、要は、積み重ねた黒歴史と、それを抑圧する親たち、及び抑圧に対する反発を振り返るってこと。

ということで、以下、私の黒歴史を一部列挙(以下、注意して読んでください)。

  • 小学生時代

アニメージュ文庫に熱中。ドラクエ四コマに熱中。
ゲームブックに熱中。ゲームブックに飽きたらず、自分でゲームブックを作り出す。裏ボスを勝手に作って、ゲームブッククリア後の裏の世界と称し、勝手に世界観を広げる。
・家にあったPC98シリーズのゲームで遊ぶ。親が買っていたパソコン雑誌に付録でついてくるゲーム(ロードランナーなど。ものすごい難しいRPGがあったけど名前を失念)をプレイ。パソコン雑誌に紹介してある簡単なプログラミングで遊ぶ。

  • 中学生時代

・部活(卓球部)の先輩の影響で、ローカル放送局の深夜ラジオにはまる。公開収録に行く。デーモン・オーケンのラジオ巌流島に投稿する。
ゲームブック趣味は継続。
エヴァンゲリオンを見るも、何を言いたいのか理解できず、消化不良のまま最終回を迎える。

  • 高校時代

ゲームブック趣味は終了。
・「信長の野望」に嵌る。歴史小説を読み始める。まずは司馬遼太郎。家においてあった、世界の名著シリーズから、注釈付きの孟子孔子荘子などを読む。源氏物語を原文で読んで、光源氏ロリコンかつ変態だと知る。伊勢物語も読破。ただの変態に興味を持つ。
ジョジョの奇妙な冒険の影響で、もし歴史上の人物がスタンド使いだったら、どのようなスタンドを持っているのかを考え始める。例えば、在原業平だったら、「アリー」で、女の子限定で虜にするなど。
・周りの影響で、RPGツクールという存在を知る。高校を舞台にしたゲームを作成する。敵はリアル教師で、ボスは校長。裏ボスは、家庭科教師(40代女性独身)。
・文系物理を選択していたため、習得していた物理学の知識を活かして、るろうに剣心に登場してくる技の強さを友人と二人で測定しようとする。相楽左之助の二重の極みは、第一衝撃と第二衝撃の差をゼロと観念しないと成立しないことを証明。そして、仮にゼロとした場合、エネルギーが∞。ドラゴンボールで、孫悟空ベジータたちの存在によって地軸がゆがむことを証明。

  • 大学時代

RPGツクールに熱中する。以下、わかり易すぎる展開なので略。
・友達ができないため、勉強する。→成績は良かった。
まぁ、大学時代の話は色々あるけど、とりあえず、終了。こんな歴史を積み重ねていました。

⇒そして現在へ。
本当はまだまだ黒歴史がたくさん続くんですが、あんまり面白くもない私の過去を晒すよりは本編の感想に行きます。

・・・こーいう、歴史を積み重ねてきた自分だから、わかるんですよ。抑圧する人たちに対する反発が。
例えば、234ページ。お祖父様が、真姫のオタク趣味を否定するところ。

「対面も何もあるかっ!いい年して、こんなくだらん子どもの遊びに夢中になって!恥を知れっ!」

典型的な、大人から見た、子供文化の評価。似たようなことは私も言われたことがあります。覚えているのは、金田一少年の事件簿シリーズに夢中になっていたときに、小説版を購入しようと、親に買ってと頼んだとき。あと、久美沙織ドラクエ小説シリーズが欲しいとお願いしたとき。
大人視点からの抑圧と否定。こーいうのって、今なら「自分で稼いだお金で購入しているものなんだから、買ってきて文句あるの?」と言えるわけだけど、当時は言えなかった。絶望感というか、諦念と言った方が感情が近いかな。そのうち、言っても無駄だとわかって言わなくなるんですよね。私の場合は、諦念の感情に強く支配されていたなぁと思います。どーせ言っても無駄なんだから、と。
だから、真姫に、自分を投影してしまうんですよ。少数派であり続けること。そして、一番身近にいる親が、一番の敵対者であること。それを自覚しているから。

最後の、真姫を助ける人たちのところは、自分の能力に見合った援助で、読んでいて好感が持てました。小説内で真姫が積み重ねてきた関係が反映された、援助。岡本も、岡本なりの援助をするということ。巫女姉さんは、声優を目指していた大人なりの援助をすること。今の自分なら、巫女姉さんの立場に近いかな?そっかー、これ、巫女姉さん=今の自分、真姫=過去の自分と置き換えても可能なんだ。あー、この視点から振り返ると、新たな発見が出来そうだ。

登場人物のキャラについても一言。

  • 七川は、みかづき紅月作品に時々出てくる古い時代のヤンキーですね。高山みたいな。
  • 夏山あおゐさんについては、絵師の双龍さんに完全同意。巨乳で巫女でポニーテールなんて、最高のシチュエーションだろっ!しかも本屋だから、きっと文学少女でしょ?!うわぁ・・・・彼女にするなら絶対あおゐさんだろー

さてさて、言わなければならない点も二点。

  • 91頁。

「キツネの妖がお色気たっぷりに戦うラノベだが、文庫の良心ぎりっぎりのエロコメでもろもろの一線は越えていない」

・・・なんか、似たような漫画のノベライズ作品があるんですけど、気のせいですよね?キツネと猫ってだいぶ違いますよね?

  • 220頁

「侍乙女」
「羅刹」・・・「まっすぐでいいよな。かなり天然だけど」

これも、「サムライガール」って小説があるんですけど、たまたま似ているだけですよね、ね!?

あと、扉のカラーイラストで、真姫が持っている小説の裏は、美少女文庫と似ているような気もするんですが、たぶん気のせいです。

この小説は、過去を見つめ直すなぁ。みかづき紅月さん自身が真姫だったという意味でも、みかづきさんの過去を投影した作品でもあるし、それに世代的に近い自分も重ねあわせてしまう。あのときの自分の感情を振り返りながら読んでいました。