大西科学「さよならペンギン」

金・土と出張でした。往復のバスの中で読んだ小説。

さよならペンギン (ハヤカワ文庫 JA オ 9-1) (ハヤカワ文庫JA)

さよならペンギン (ハヤカワ文庫 JA オ 9-1) (ハヤカワ文庫JA)

まずは登場人物紹介から。

  • 南部観一郎

観察者。1500年以上生きている。でも長寿という特徴以外は普通の人間と同スペック。長く生き過ぎている為、他人と深く付き合おうともしない。別れが怖いから。

  • ペンダン

ペンギン。南部の延長体(エクステンデント)

  • 谷一恵

実は、もう一人の観察者(これは南部の用語だから、正確ではないが、そうとしか形容出来ない)。谷にとって、観察者、延長体(みちづれ―これは谷の用語)は、悪魔。抹殺すべき対象。

感想
南部の自己理解では、南部の仕事は、「認識すること」、「観察すること」。
・・・観察者の立場って独我論じゃない?世界は自分の認識可能な範囲でしか存在していないって。

読んでいて感じたのが、主観と主観の対決。でも間主観性と言わなくてもいいけど、共通了解と言えばいいのかな。それがない。結局、南部が到達した解・延長体は次の世界を生み出す存在だという認識も、南部自身の主観でしかないわけで。ペンダンが記憶装置という点については、南部も谷も共通了解だったけど、その役割について、認識が異なる。結局、南部の到達した結論は、新たな世界を作り出すための記憶装置としてのペンダン。次の世界の親鳥。

むぅ。こういうの、好きだけど、読むの疲れる。