庵田定夏「ココロコネクトヒトランダム」
さーて、読書感想。
- 作者: 庵田定夏,白身魚
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/01/30
- メディア: 文庫
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相変わらず、2巻が出てから1巻を買うという、微妙に流行に乗り遅れている本の買い方をしている人間です。これも、続編あり。
おはなしの展開的には、部活5人の間で生じる人格入れ替わりモノ。男同士の入替わりもあれば、TSもあるよ!入れ替わりは部活メンバー5人の中で、ランダムに生じます。
入れ替わりってなんだかんだで楽しい。自分とは違う世界が見えるんだから。でも、入れ替わることって、自分のすべてを相手に晒すこと。相手のプライバシーを完全に覗くこと。入れ替わることで、相手の立場やトラウマに気付く。
主人公の解決の仕方はすごいな。惚れるね。何このフラグの立て方。登場人物が抱えているトラウマを、相手の立場になったことを利用して解決しちゃうんですね。
例えば、稲葉。稲葉は、相手を信用できない。しかし、男嫌いになったきっかけや、父親が何人もいる、などのトラウマがない。元からそういう人間。物語の登場人物だと壮絶な人生を送ったせいであまり望まれない性格になってしまった、そんな経験がない。だから、他人を信用できないという悩みを解決できない。でも、主人公はそれを受け入れてしまう。
てか・・・別にそんな稲葉も、・・・アリなんじゃないか?
受け入れてくれないかもしれない!と告白する稲葉に対して、
「俺は受け入れたぞ」
「それでもまだ、俺がいるだろ。じゃダメか?」
うわああああああああああああああ!!!これは惚れる!マジ惚れる!こんなカッコいい台詞言いたい!!
永瀬に対しても。相手に合わせてしまう。確固たる自分を持てないと悩みを抱えることも。
「んなもん、だれだって場の空気でキャラ変わるだろ。永瀬はそれが人よりかなり過剰だった・・・ってくらいじゃないのか」
「でっ、でもわたしは・・・・自分でどの部活に入るかすら選べなくて・・・」
「楽そうなところを適当に選んで入った奴とか、友達が入ったからそこにしたって奴らと、そんなに変わらないんじゃないか?」
なんかなー、この解決の仕方、好きだな。「まー、なんとかなるんじゃね?気にすんなよ」が基本コンセプト。男子校的ノリですな。入れ替わることで相手の傷もわかるし、自分の手の内も積極的に晒していく。
高校生の日常を漂わせる小説の雰囲気も好きで、青春モノとしても面白かったですね。