橋本紡「半分の月がのぼる空 3巻」



ああっ!これは続きが気になる。里香は、、、多分治ると思うんだけど。っていうか、ヒロインなんだから治ってくれないと困るんだけど、、、、。

死ぬかもしれないと悟っている里香が、写真を撮って欲しいと願うのは、やっぱり自分の思い出を、相手に刻みたいから?相手に忘れられないでほしいから・・・、かな。

この巻はとにかく救いがないなぁ。しかも、登場人物の心情が、ラノベらしいコミカルなパート(これもほんの一部に過ぎない)を除いて、生々しい。現実的。

里香に制服を着せて学校に行かせるときも、なんだか思い出作りを無理やりしているような、うわっついた雰囲気が感じられる。本人たちとしては、そこを自覚しつつも、楽しんでいるんだろうけど。みゆきも里香のことを理解する。もうすぐ死ぬ可能性が高いって。だから、里香に尽くす。精一杯、少ない思い出でもいいから、築いて欲しいって。でも。それでも。思い出作りを強制された思い出って、思い出なのかな・・・もっと、何気ない日常の方なんだろうけど、里香には、学校に通った経験が殆ど無いし。

しかも主人公の裕一くん。年上の女に騙されて里香以外で童貞喪失の危機に陥ってしまうし。とにかく暗い。

でも、だからこそ、ときどき出てくる前向きな発言が光るのかもしれない。例えば、亜希子さん。伊勢以外を選択できない現実を「是非もなし」として受け入れられない女への嫌悪。里香を学校に連れていったときに、スペル・ソラールの登場。里香を学校へ連れて行くよりも、こういう何気ないハプニングの方が、思い出なのかもしれない。

作者の会話文、なんとなく好感が持てます。一人で声に出して読んでいます。