入間人間「六百六十円の事情」

六百六十円の事情 (メディアワークス文庫)

六百六十円の事情 (メディアワークス文庫)

カツ丼を軸とした群像系のもの。各章の登場人物の視点が切り替わると、かくも主観次第で印象が違うのか・・・と思わせる。

登場人物は、それぞれ悩み、苦労を抱えているんですよね。まー、それほど深刻なものではないんですけど、心にちょっと重しが載せられる程度のモノ。例えば、2章の高校生だと、同級生と比べて大人になりきれていないようで、大人なようで、でもやっぱり大人じゃない。時の流れを自覚できない。ずーっと、現状が維持されているのではないか、遠思ってしまう。でも、1章のねーちゃんとすれ違うことがきっかけで、同級生の北本さんと仲良くなって。北本さんは自分の将来をみすえていて、ちょっとだけ大人に見える。

読んでいる途中で「赤川次郎系量産型小説だなー」と思ったけど、読後感は軽やかですね!星3つで。