十文字青「萌神」


現在、ジャンプで連載中の逢魔ヶ刻動物園がアニメ化するときは、主題歌はECHOESの「ZOO」しかありえないな、と思いました。いい曲だよなぁ・・・

辻仁成とくれば、私がリアル中二で、中二病真っ最中の頃に好きだったバンド・作家だったりもする。どちらかと言えば、ECHOESの方から入ったかな。久しぶりに読み返したくなってきたなぁ。今でも実家を探せばあるかなぁ。

では、感想書きます。

萌神 (一迅社文庫)

萌神 (一迅社文庫)


序盤までは、無感動・無趣味な吉次と、情熱を滾らせるオタク・中佐の対比で、面白いなーと思って読んでいました。で、吉次に対しても、「んんん、周りにもそういう人いるわー。自分も、過去には何をしても面白くないなぁと思っていた時期もあったし。でも、面白くしようと思わないと面白くならないよねー」と、共感を示していました。

中盤では、三人のヒロイン(友岡ねりん、諸澄さん、黒小路ちみれ)の行動を見て、どう考えても友岡さん一択しかありえないと一人で思っていました。

ちみれは一生懸命でカワイイけど、こえぇよ。金持ちパワーを活かして、吉次の身辺を調査するなんて。諸澄さんはおっぱい大きくて母性愛に溢れているけど、裏の顔が怖すぎだよ。何の気なしにイデオロギーに殉じた行動を起こす人は、やっぱりおつきあいできねぇよ。ま、二人とも、「欲」の一種なんだろうけど。友岡さんも一般的な女性としての欲(キスしたい、独占したいなど)を発露。

途中までは、この小説は、欲望の話だと思っていたんですよねぇ。

「積極的に何かを求めなくても、君は受動的に、ほとんど自動的に生きてゆける。違うか?」

「求めるからこそ、満足はある。満足は快であり、それがたとえどのようなものであれ、買いがあるからこそ人は生きてゆけるのではないか?」

中盤(208-209頁)あたりの中佐の言葉。人はパンのみにて生くるにあらず。何かの楽しみがないと、生きる糧にならないよぉ、と。「萌え」って、本来の語義は、「心の奥から湧き上がる」という意味だから、その意味で「萌神」ってタイトルなんだなぁーと思っていました。じゃあ、主人公・吉次くんは誰を選ぶんだ?それともToLOVEる系ハーレム路線を志向するのか?と思っていました。


しかし、結末は・・・・。


終盤、なぜか異世界に。異世界に飛んで以降の展開が、、、、タカヤです・・・・夜明けの炎刃王です・・・・。最後のオチはわからなくはないんだけど、迷走したような印象が残った*1。よくわかんない熱血要素を感じるんですが、《綺麗に決まった》作品ではないですね。十文字青ファンなら買うべき作品でしょうが、他人にお勧めは・・・できないでしょう。星3つで!

*1:似たような作品で、手塚治虫。最後、幽霊がこの世で大行進して、日本を離脱し、ブラジルに移住する話があるんですが、それと似たような印象。申し訳ないけど、作品の名前は失念してしまった。