みかづき紅月「こいびと以上 ともだち未満 いごいご少女」

前作からわずか三ヶ月で続編刊行とはっ!恐ろしいくらい速筆・・・!

今回は王子村の夏祭りを盛り上げよう!と真姫たちが奮闘するお話。
前作より、お祖父様たちとの対決要素が強くなってるなぁ。前作も、お祖父様やステテコーズの人たちが真姫のオタク趣味を理解しないこと、真姫の反発と構図だったけど、今回はより鮮明。終盤、お祖父様・ステテコーズなど村人連中が、岡本に火事責任を押し付けるわけです。そして、祭りを盛り上げようとして真姫が岡本に依頼して作成した芸術作品を燃やす。一顧だに理解しようとせずに。

それでも、真姫はお祖父様、ステテコーズを見捨てないんですよねぇ。ここに、自分と真姫の違いがあるなぁ、と。自分なら絶対に許さない。和解もしようともしないで、今後の村人たちの言動を全て無視するとおもう。

真姫の決断の背景には、やっぱり主人公・雅久斗の機転ですね(209頁)。

「岡本と村の人たちがうまくコラボできる方法はないかなって」

廃校を利用したアートについて。

「辛抱強く説得して何とかやってもらったらしい。そしたらお互いに知らない世界を知れて、それがきっけとなってどんどんと協力者が増えていって成功したとか」

知ってもらおうとすること。雅久斗がしたことはほんの小さいことだけど、真姫には足りないことだったよなぁ。対決するだけじゃないテイジン


とまぁ、後半は割と緊張感のある展開なんですが、前半は、ツインテールのお子様生徒会副会長と対決したり、肝試しをしたり、とのんびりムードで進行しています。
前半のおバカパートをひっぱる主役はトオル=七川次郎かな。田舎ヤンキーで真姫にベタぼれ。エロい。変態。エロ本買いに行ったり、七夕の短冊に織姫と彦星との情事をお願いしたり。あー、おバカ展開ですなぁ、とニヨニヨ*1。でも実は良い奴。

ツインテ生徒会副会長も、対立しているようで最後は協力する実は良い奴ポジション。なんだかんだでベジータツンデレ
キャラについては、もう一人、あおゐさん!今回は、あおゐさんは地味。カラーイラストではおっぱい堪能できるくらい。

この小説の登場人物はキャラが濃すぎて、逆に主人公・雅久斗が、全く目立たないんですよねぇ。後半でちょこっと活躍するくらいです。真姫にも腐った趣味属性が追加でさらにパワーアップ。

印象に残ったシーンは、岡本がホタルを手にするところ。イラスト効果もあって綺麗だなぁーと、その場の視覚をアニメにしたような妄想を展開していました。好きな人同士が仲良くなって欲しいって素直なお願いだよなぁー、綺麗な雰囲気で言われたらクラってきちゃうよなぁと。

あと小説の冒頭で刹那のコスプレが!サムライガールのセルフパロが!これも一応言及しないと!

と、つらつらと雑多に感想を書き連ねてきました。ストーリーは王道。やっぱりハッピーエンドじゃないと!という帰結。前半はキャラ萌えの観点からのんびり進行でほわ〜としたまったり気分を味わえて、後半は真姫の葛藤と雅久斗の活躍を受け止める本でしたね。

*1:この言葉はこの小説の中で割と多用されています。あと「口がωの形になる」!また入りました!みかづき紅月作品の中で頻繁に出てくる言葉。子宮頸管粘液とくればわかつきひかる並に他作品でもたっぷり。