大間九郎「ファンダ・メンダ・マウス」

ファンダ・メンダ・マウス (このライトノベルがすごい!文庫)

ファンダ・メンダ・マウス (このライトノベルがすごい!文庫)

最初、ものすごく地雷を踏んだと思ってしまった。中毒性の高い文体。狂った会話と登場人物。だが、直にそれも慣れた。人間やればできる。最後の方は、まぁ、こんな文体もありかと思うようになっていた。
中身は・・・ん。毒まみれだけど、不思議と爽快感があるんですよね。とにかく勢い。なんといっても勢い。勢いで押し切った一冊。マウスがハーレム建設してしまうのも勢い。

それでも、マウスの中にある一点の愛情。母への愛。他人への恋は複数成立するけど、愛は母親だけ。母親への狂信者。

おかもと(仮)『伝説兄妹!』のときも感じたけど、この本に対してもどことなく滝本竜彦臭が漂うなぁ。滝本竜彦の場合、デビュー作の『ネガティブ・ハッピー・チェンソー・エッヂ』と二作目の『NHKにようこそ!』で、自分が溜めてきたもの全てを吐ききっちゃって、満足してしまったような印象を受けたんですよね。実際、その後、しばらく時期が空いている。
このライトノベルがすごい!文庫の公式ブログでは、全部続きが出るという情報を入手した*1んだが、実際上、大丈夫なのかなぁ。全部吐き出してしまっているのか?一巻完結のものなのに、無理に続編を出すと破綻すると思うんですが。
ま、これは私が読んでいて思ったことなので、本人はそんなことないよーと言うことなら、また中毒性の高い文体を味わいたいですね。