布施文章「思い出したくもない人生最悪の96時間」

真っ赤な表紙。キャッチーなタイトル。とにかくこの本は書籍売り場でよく目立つ。私もついつい惹かれて買ってきた類。ただ、感想を言うと、私好みではなかったなぁー、と。おはなしの作りも悪くはない。作品の質が悪いというわけではない。こういうの好きな人はいると思う。

しかし、私の好みではない。これは、単純に相性の問題だと思った。

ストーリーを紹介してみる。清水が雑誌記者。で、これが主人公。清水の弟が殺されて、その真相は実はロシアで核兵器アメリカにぶち込んで、革命を起こそうとしている軍の一部。でも、実はそれを操っていたのは、アメリカ軍の一部。途中で出てくる女性・榊は、清水の弟の彼女だったけど、実はロシアのスパイ。とみせかけてそれも嘘。与党の不祥事をもみ消そうとしていた。

アメリカの三流映画にありそうなストーリーだなぁー、と読んでいて思った。「全米が震撼!」というキャッチコピーの元、試写会が開かれて、そこから出てきた和解女性が「最後がすっごいわくわくしました!」と言ってそうな感じ。

正直言うと、別にミリタリー系の知識があるわけじゃないから戦場の様子や銃の型なんて説明されてもさっぱりわからんのよ。特にラストのバトルシーンは全くイメージが沸かない。というよりも、イメージをしよう、想像しようとする気力さえ起きなかった。ただ、パラパラとページを捲っていただけ。

まぁ、あと、中盤くらいで清水の過去(離婚しただとか、大学後に戦場カメラマンとして活動していたなど)が明らかになるんだけど、主人公を含む登場人物の設定が小出し小出しになっていて、最初から感情移入できなかったことも要因かな。例えば、とある飛空士への追憶だったら、最初に主人公カルエルの背景をガッツリ書いているが、今作が用いた手法は正反対。よくわかんないけど、ストーリー作成の技法にはこーいうの、名前付いているの?どっちも一長一短あるとおもうんだけど、今回はあんまり成功していないな、と。

あとやっぱり、ハードボイルド・サスペンスってあんまり好きじゃないのかも。アメリカの三流映画にありそうなストーリーってさっきは書いたけど、これ系はもう食傷気味だなぁー。三流映画を観ると思って観ているわけではないし、この本を購入するときには一定の期待をして買ったんだが、中身は三流映画だったから余計に評価が下がる。

ま、総合評価で、星2つですね。暇つぶしとしても、私は好きじゃなかった。ただ、作品の質が悪いというわけではないので、他者とは評価が異なると思います。