入間人間「バカが全裸でやってくる」

この小説のタイトルの意味はストレート。

だって、小説って一字一句、作者の妄想から生まれたものですよ。隠しようがない心の奥にある、現実への不満、理想の世界をぶちまけているわけです。赤裸々な告白大会ですよ。
自意識過剰な中学生あたりがそんなもの明かされたら自殺しそうじゃないですか。それに耐えて本を出し、露出狂のように喜ぶ。それが小説家の実態です。

小説家とは、モザイク無しの全裸、丸裸をさらけ出す物。自分の脳内を全て。その意味で、バカだし、変人。この小説にでてくる小説家は変な人ばかり。中の上クラスの偏屈作家もいる。小説を書くことでしか世の中とつながることができない幽霊作家もいる。小説を書くことが仕事となっているブロイラーもいる。でも小説を書くこと自体は好き。自分を丸裸にして、相手(=読者)に見せている。

内情暴露的な要素もあって、面白かった一冊。とくに実際の作家がこの本を読んだらどういう反応をするのか気になる。