みかづき紅月「妹邪気眼!」

さてさて。今月の美少女文庫の感想行きますよー。まずはみかづき紅月さんからっっっ!

主人公は大学生の俊之。ヒロインは妹・色羽。で、俺の妹が中二病なワケがない。なんてことはない(二重否定)。妹の真の名は〈魔を祓う翼〉。と書いてホーリーウィングと読ませる。という設定。

魔法という設定で言い訳してエロいことをするヒロインがいじらしいです。大きくなっちゃった、誘惑させる→悪魔の罠だ→じゃあ、魔祓いしないとっ!という流れ。でも本当はただの言い訳。それに中二病ということもわかっている。現実というのが迫ってきているのも。

エロさというよりもヒロインの可愛さ重視。あとはみかづき紅月さんお得意の恋愛描写が盛り上げますねー。なんかねぇ、基本は俊之視点なんだけど、色羽の様子が細かく伝わってきます。ゲージ溜めは恋愛描写が中心です。微妙に嫉妬したり、大学にやってきたり、ちょっと背伸びしたり。小動物系。

基本的なストーリーにはツン→デレ。妹は最初はツンツン状態。バカ兄となじってきます。で、だんだんえっちぃことを重ねるうちに気持ちがデレてくる。今回は、中二病という状態がツン状態と同時に発生しています。

今回は読み物としても面白いですね。最初の数ページは俊之の独白なんですが、これで最初に惹きつけられた。で、やっぱり中二病に対する態度。もちろん、私も中二病に罹患していた期間は長かったし、昔趣味にしていたRPGツクールなんて中二病患者しか集まらない世界だった。だから、私もこのヒロインの気持ちはわかる。

いつからだろう。
周囲とのズレを感じ出したのは。

別に誰にも理解されなくてもいい。
そう思っていた。
だけど、そんな一人ぼっちの私に味方が現れた。
うれしくて、うれしくて。
そのとき私は初めて知った。
誰に理解されなくてもいいなんて、ただの強がりだったってことを。
本当は誰か一人でもいい・・・・私を分かって欲しかったんだってことを。

・・・・うーん、私が中二病真っ盛りの中学生の時はこんなことまで考えられなかったなぁ。絶望的なまでに孤独だったし、何でも一人だった。でも中学生の時の自分を振り返ると、自分は話を聞いてくれる人を欲しかったんだと思う。中三の時に部活でちょいと起こした中学生らしい喧嘩のことをふと思い出した。その意味では今回のヒロイン色羽ちゃんは、僕なんかよりもずっとずっと大人かもしれない。いや、子供であることを極めたのかもしれない。

今回の小説、中二病ということで編集も悪ノリしたんだろうなぁ。カバー後ろや帯も、中二病がなんであるのかを分かっている人じゃないと書けないでしょう。今作は小動物、可愛い系で萌え成分補給。さらにネタ的な意味でも面白い。