犬村小六「とある飛空士への恋歌 5巻」
- 作者: 犬村小六,森沢晴行
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/01/18
- メディア: 文庫
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今までの感想はこちら↓
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泣いても笑っても最終巻。最終巻はじっくり味わいたいので、少し読書スピードを落として読んでいました。つーか、今までの感想を振り返っても3巻から感想の書き方のテンションが違うなー。前巻・最高潮の興奮状態のまま迎えた最終巻。うーん、上手く感想かけるかな。思ったこと、泣きたいこと、応援したいこと、共感できること、もっともっとたくさんあるんだけど、ごめん。うまく言語化出来ない。こんなときは酒で気付けしてきます。
・・・・さて、ワインを一口呑んだところで感想書きます。
とある飛空士への恋歌とは。ニナ・ヴィエントの仮面を取り去った、クレア・クルスから、カーライル家の元王子、カルエル・アルバスへ、風に乗って届けられる恋の歌。前巻、カルエルが、クレアのことを許したときに届けられた、恋の歌*1。
クレアが、空の一族へ人質としてクレアが連れていかれる。その目的は、イスラの安全を確保するため。カルエルは、クレアを許している。クレアのお陰で成長できた。
―きみは自分自身よりもクレアが大切なんだね。
―だから憎しみも捨てられたんだ。(172頁)
クレアがイスラを旅立つときにカルエルが言ったこと。君を奪い返しに行くから。そして、その応答。
待ってる!!(108頁)
左の頁がクレアの100%の笑顔で。カルエルへの信頼が。自分の運命の悲壮さを嘆くわけでもなく、決して未来を諦めているわけでもない。気高い、そして100%の破顔。ぐさりと突き刺さりますね。
クレアを奪い返しに行く。絶対に、という決意とカルエルへの応答が風に乗る。クレアからカルエルへの恋の歌が届く。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・歌えない恋の歌もある*2。
義妹であるアリーが、カルエルへ届けたい恋の歌。歌いたい。でも歌えない。カルエルはクレアへの恋を表明してしまい、そのドラマの筋書きがすでに出来ていた。その後ろで、本当は届けたかった、恋の歌がひっそりと佇んでいる。
私は思うんです。もうひとつの恋には、いつから気付いたんだろうって。3巻のラストで二人で視線を越えたとき。それとももっと前、アリーが、イスラへ行くことを決断した時から、既に・・・・?
「イグナっていい人じゃーん。意外とかわいいし!」
「やめろ!ダメだダメだダメだ、あいつだけはダメだっ!」(44頁)
このとき、アリーは、嫉妬してくれているだ、と思ったのかもしれない。
クレアのこと、好き?(46頁)
このとき、アリーは、否という答えを望んでいたのかもしれない。自分の気持ちを言いたくて我慢できなかったかもしれない。
もう一つの恋の歌の存在。それをわかったときに、今までのシーンが、別な視点で蘇ってくる。
最終巻ということで色々と総決算の一冊。緊迫した戦闘シーンはなかったけど、締めくくってくれて満足できました。評価?当然の星5つ!!!犬村小六さん、面白い物語ありがとうございましたっっ!!!!