新井円侍「シュガーダーク」

今回は1年ちょっと前に発売された本。最近、個人的に新規開拓運動を展開していまして、あんまり買ったことのないジャンルでも手を出してみようかな、と。そんな勢いで手にとって購入した一冊。

読み終わった感覚としては、、、、95%暗いんだけど、5%だけ、ほんのちょっとだけ、明るいエンド

自ら墓守となって、メリアと暮らすことを決断したムオル、というのがなぁ。住む世界が違うなら、同じ世界に入れば良い。メリアが、ダークの力を取り込んでしまった夜の世界の住人ならば、自分も、ダークの力を取り入れて、墓守となれば良い。うん、そうなんだけど。そうなんだけど。なんなんだ、このもやもや感は。

ダークの力を取り入れてからの内面描写が、、、とてもラノベとは思えない凄絶さ。どろん、とした身体の鈍い感覚。自らの身体が引き裂かれるメリアの苦痛を追体験することが、メリアを救う。いや、自分がメリアと同じ世界に生きることになる。たしかに孤独なメリアにとっては伴侶を得ることなのだが・・・・

読み手としては、解決しない、決してハッピーエンドとは言えないラストをどう評価するのか、という問題に答える必要があるだろう。私としてはこういうのもたまには・・・・アリ、と評価します。いつもいつもシュガーな世界ではダメかな、と。

作者の丁寧で緻密な文体は高評価ポイント。変なギャグや中途半端な萌え要素が入っていないのも良。作者のブログ見ると、2巻は出ないっぽいなぁ。基本的な構図や文体は新人とは思えない高クオリティだと思いますので、別な作品でも一定の質を期待。