渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)

さて、本日は渡航さんのラノベを読んできました。聞くところによると、twitterやブログでの自虐ネタで人気になり、最新刊は瞬殺だったとか。私の場合も、ブログで面白いこと書く人だなーと思っていて気にはなっていました。今まで本買ったことなかったけど。ちょいと知り合いの方と呑んだときに「渡さん面白いよー、あやかしがたり良いよー」と勧められたので、今回を機に。

簡単にあらすじをば。主人公・比企谷八幡には友達がいない。歪んでいる。正確もネジ曲がっている。で、平塚静先生によって、雪ノ下雪乃が所属する奉仕部に強制的に加入させられる。雪乃は容姿端麗で才色兼備という銀河ギリギリでぶっちぎりの凄い奴。でも、その凄さ故に孤高で、友達がいない。要は、奉仕部は、友達がいない人間が集まるサナトリウムで居場所を提供する、というものだった・・・・

この小説・・・自虐ネタで埋め尽くされている渡さんのブログ(http://d.hatena.ne.jp/watariwataru/)の雰囲気そのまんまだよ・・・この小説は自分の過去を抉りますねぇ。私も主人公に匹敵するくらい絶望と孤独の生活をしていましたからね。

例えば、中学校の時も部活に所属していたけど、練習する相手がいなかったし。部活の連中から「お前ムカツクんだって」って眼の前で言われたことも。ちょっと高度になると、「俺らの言うこときかないとお前のこともう無視するよ」とかね。昼休みにいつのまにかドッチボールに参加していたことになっていて、なぜかボールをぶつけられたとか。俺、いつドッチボールに参加したことになっているの・・・?

ああ、高校の時はクラスの女子から俺の悪口を書いた紙を渡されたこともあったな。死ねよ、あのときの連中共。そのときの主犯格がいまや京大法学部卒業して弁護士やっているんだなんて、信じらんない。

大学の時にも自分が用事があって抜けたら「やったー、やっとあいついなくなってくれたー」という声が遠くで聞こえたとか、女子から目の前で「気持ち悪いです」と言われたとか。ほかには大学時代の数少ない友達だと思っていた人の結婚式の呼ばれないとか。でもmixiにアップされたときの写真では俺以外の人間が呼ばれている。でもなぜ俺は・・? ご祝儀貧乏って言葉あるじゃないですか。自分の周囲が結婚適齢期で、結婚式に呼ばれる回数が頻繁でお金がかかって貧乏になるって意味。俺には全く関係がない。なぜなら友達がいないから。

特に中学校の時は成績が良かったからそれへのやっかみもあったし、高校の時も同じく。地域の進学校だっけど、そのなかでも割と勉強はできた方。大学でもかなり成績良かったからねっ!こんな感じで言うと、カッコイイけど、要は友達いないから自分で勉強する時間がたくさんあるだけなんだけどなっ!!しかも友達いないヤツは、訳作りや証明の分担作業という極めてコミュニケーション能力が必要な実働に参加することが出来ないので、すべて自分で勉強しないとダメなんだ。

とまぁ、色々書いたけど、全部フィクション・・・・・、だよ? 本 当 に フ ィ ク シ ョ ン だ よ (泣) フィクションということにしておいてくれよ・・・・・

そりゃあ、私もこれでも20代後半なので、それなりに生きる知恵は身につきましたよ。でも、ここ数年間のできごと。友だちを作るのは相変わらず苦手。それでも、言葉って救いがあるんだなぁーと思うんですよ。「中二病」「非リア充」「非コミュ」「キョロ充」・・・こういう言葉に込められた意味を捉えるたびに、自分がそうだったと自覚するんですよね。非コミュ非コミュと自覚することから第一歩だと。この概念に込められた意味が、自分の語彙を拡充することによる自分の認識を拡大させる。自分自身を自覚すると(自分が置かれている状況を認識する概念を獲得すると)、自分を相対化できる。結局は自分を肯定するしかないんだけどさ。言葉の獲得により、自覚と救いができるんだよ、ね。

まぁ、大学で会話した時なんて、ゼミで発表するとき以外は、食堂のおばちゃんに「あ、ちょっと待ってください、今3円出します!」とか言うくらいだからなぁ。講義以外はずーと、図書館で勉強。そりゃ成績良いよね。

この小説をコミュ能力が高い人間が呼んでも面白くない。今ぼっちで辛い思いをしている人は、自分の状況を自覚できると思う。で、今の私は、非コミュでもいいと割り切った存在。多分作者の渡さんもそうなんじゃないかなー。私、自分を自覚し、割りきってしまったら一気に精神的に楽になりました。別に独りでいいじゃん、好きなときに好きなように行動する。他人の目を気にしない。それ気楽でいいなぁー、と。まぁ、それでも少しはコミュニケーションしたいんだけどさ。
自覚して、気楽に生きると仲いい人ができました。強迫観念ではなく。ぼっち街道を乗り切った私は、過去の自分を引き合いに笑えるし、ぼっちの人は精神的な救いになる一冊。 これ、私にとっては、もう一回再読したいレベルのお気に入りです。主人公もなぜかラブコメ展開に巻き込まれているし。ビッチ力が高い由比が浜結衣も一途で可愛いし*1。ちょいと自分の経験を含めて思いついたことをグダグダと書いたけどまぁ大事なのはイラストだから。中身なんてあんまり気にすんなよ!

*1:でも今の主人公とは少なくとも高校時代はくっついてほしくないな。同窓会で再会→結婚パターンがいいかも。