小林めぐみ「食卓にビールを」

こんばんわー、ここ数週間は若干更新頻度が鈍っておりました。4月から異動になりまして。諸々の整理や引継ぎなどで忙しかった、ということもありますが、読書をサボっていたわけじゃあないんですよねー。ここ最近は、ちょっと昔の隠れた傑作を再評価してみよう、ということで、少し昔の作品を読んでいました。読んでいたのは、今は無き・富士見ミステリー文庫でシリーズ化されていた、小林めぐみ食卓にビールを」1巻から6巻まで、です。

1巻の発売が平成16年だから、ラノベに限らず、オタ向け作品が、「萌え」特化に全面的に移行した時期ですねー。例えば5巻の表紙を見ても*1、ちらりとパンツが見えていたり。しかし、表紙と中身は全く印象が異なる。この作品は、ある種、突き抜けています。

簡単に作品の内容を紹介。主人公(最後まで名前は明かされず。苗字は「江藤」)は、女子高生。で、物理好き兼人妻兼小説家という奇特な人種。主人公は、なぜか宇宙人に絡まれることが多く、変な星の、変な規模のスケールで、よくわかんない事象に巻き込まれ、なぜか解決している、という短篇集。

で、この小説、特にストーリーがあるわけでもないので、感想書きにくいが、ひとことで言うと、とにかく主人公が変!突き抜けている。物理の知識を披露したかと思えば、宇宙人と遭遇したり、いつの間にか地球を救っていたり。準レギュラーとしてしばしば登場する、ガタピシ・ジョージ刑事(鄙びた、サラリーマン刑事みたいな立場)には、地球代表と扱われ、なぜか知恵を貸したり。知恵を借りるのも、不思議。今の写真が撮れないなら、7光年先に行って写真をとればいいじゃない!と。それが可能になるのも、宇宙の不思議な先端技術だからっ!で片付きます。

主人公の周囲の人達もおかしい!緊張感の欠片も全くない!!例えば、主人公が所属する文芸部の双六大会の話では、なぜか用務員さんの恋愛相談をしたり、そうかと思えば、地球の反対側にある鏡面世界へワープしていたり。こんな感じで書くと話のスケールが大きくて凄そうですが、全部で30頁以内の短編で終わっているのはもっと凄い。

・・・・うーん、上手に書けないが、こうと表現するしかないのが現状だ。現在のラノベで近いのは、生徒会の一存。でも、生徒会の一存は一応ストーリーがあるが、これは全くないなぁー。「生徒会の一存」シリーズからストーリーを抜いた感じ、、、、とでも表現しようか。

1冊あたり大体8編前後収められています。本当に短編なので、ちょっとした待ち時間の間にさくっと読めるレベル。お気楽な小説でした。3月後半はこれでずっと暇を潰せましたー。