桜庭一樹「青年のための読書クラブ」

かーずさん、また取り上げていただきありがとうございますー。

青年のための読書クラブ (新潮文庫)

青年のための読書クラブ (新潮文庫)

さて。今回の読書感想は、桜庭一樹さんの作品。文庫化になったので買いました。えっちぃ本の感想も近いうちに。

またまた桜庭一樹用語(例えば「かんばせ」など)がちらほらと出ているのを見つけて、ふふっと軽く笑ったり。独特の言い回し(動詞の繰り返し)を見てニヤリとしたり。

とまあ、導入はこのへんにして。

お話の中身は、お嬢様学校にある謎の組織・読書クラブに記された、学園のもう一つの歴史。全部で5編からなる、連作短編です。

読書クラブとくれば、たとえば文学少女シリーズの文芸部みたいなイメージかも知れない。たしかに、部室の雑多な雰囲気は似ていると思う。しかし、構成員は、お嬢様学校に相応しくない者たちが流れ着いた、漂流先の終着点とでもいうべきもの。大阪から来た、浪花弁の転校生然り。時代の潮流に乗ったと勘違いした、扇子族然り。全ては、創始者が、出身のパリを模して作られた古い建物にて起きる。あの、けだるい雰囲気。世の中からずれた場所。なにか、入ることを抑止してしまうような、見えない壁。その中に集う、読書好きな人々。紅茶を飲みながら、読む。語りながら、読む。そして語る。それだけの場所。

後ろの解説って余計なことが書かれていることが多いけど、今回は面白い。文化系クラブの滑稽さ・道化を示しつつも、読書クラブが学園内でトリックスターとして機能している、と。

そういう場所がそういう人を作るのか、そういう人だからそういう場所に行くのか。結局はわからないけど。でも、読書クラブは、形を変えて生きていることを示してくれた。ちょっとこの空間憧れるなー。古い部屋でひたすら読書。先輩方が積み重ね、そして、自分たちも積み重ねる。私、入りたいんですけど。